学士編入や再受験の面接で質問への答え方

このページでは、特に再受験生や学士編入の受験生が、面接試験で質問にどう答えるべきか、について考えていきます。後半では「企業就活との比較」についても書いてみました。私は編入前は大学で働いていたので、面接する側&される側の両方の視点で書いていきます。

医学部の面接の一般論

基本的に、面接官が確認したいのは以下の2点だと言われています。
 (1) 最低限のコミュニケーション力(詳しくは後述)。
 (2) 最低限の倫理感(あなたがサイコパスではないこと)。

さらに、社会人や大学院生の受験生であれば割と深めに、
 (3) わざわざ進路変更する理由。
 (4) 高卒よりも数段上の医学・医療の知識。
の説明も求められると思います。

面接で問われるほとんどの質問内容は上記のいずれかのチェックを目的としています。編入試験であれば進路変更の理由はちょっと厳しめに要求され、
 (5) 現在有している能力の深堀り
もあると思います。受験者が「(募集要項に書かれている)求める人材」にマッチしているかを審査しようとするわけです。


このページでは以下から、医学部入試の面接について、特に再受験生や編入志望の人を対象に書いてみます(2500字くらいあるので長いです)。高校生を対象にした通常の面接対策の情報はネット上にもたくさんあり、例えばこちら(ウィキブックス「大学受験医学部面接」)によくまとまっていると思います(高齢受験生もチェックする価値はあるかもしれません)。

なお「高齢受験生」というのは、25~35歳くらいを想定していますが、40代以上でも年相応のやり取りができて、(後述してますが)「年齢を帳消しできるくらい自分はポテンシャルがある」ことを示せば問題ないはずです。これは採用する側にとっても利益になるわけですし、実例は毎年存在します。
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高齢受験生の面接心得

社会人や大学院生の受験生なら、試験の全ての目的は「〇〇大学のほしい人材に自分がマッチしていることを大学教授に伝える」ことであると理解していなければなりません。大学と学部それぞれの「アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)」を最低一度は読み、あなたがそれにマッチしていることを面接官に根拠を持って説明できるとよいと思います。普通受験生は筆記試験対策に時間を割きますが、受け入れ側としては「基礎学力」は(比重は大きいけれど)気になる項目の一つにすぎません。このあたりは勘違いしないようにしましょう。

面接試験では書類や記述試験では調べられない要素が面接官によりチェックされます。典型的なポイントは「最低限のコミュニケーション力」や「最低限の倫理観念」ですが、高齢の受験生であれば高齢であること自体が、特に医師としての実働期間が短くなるというデメリットにつながります。そのため高齢受験者は「高齢であるデメリットを吹き飛ばすくらいに貴大学と医療に貢献できる」ことを相手に理解してもらわなくてはなりません。高齢であることがどの程度ネガティブに評価されるかについては大学ごとにかなり異なるので、事前のリサーチが必須です。「若い人材を欲している大学(群馬大など)」に例えば50代主婦が挑戦するのは生産的ではないです。必ず事前に調べましょう。

大学側にとって受験生は(教育を受ける)投資対象の候補なのですから、「留年せずに卒業しそうか」「周囲の学生と上手くやるか」「卒業後のビジョンはあるか」などを気にするのはごく自然のことです。留年しないことは当然として、高齢受験生は「周囲の学生と上手くやる」「卒業後のビジョン」についても(聞かれたら)答えられるようにしておいた方がいいと思います。また特に学士編入の方では、その募集の趣旨からして、単に「開業したい」「勤務医になりたい」程度での考えでは合格できないと思います。

私は受験当時は医学部で研究職に就いており、学生指導の経験もあったので、ある程度の安心感を面接官に与えたと思います。特に学士編入の場合、過去に何らかの医学部や病院との関りがあれば多少は相手を安心させると思います。聞かれる場合も多いので、具体的に周囲の学生にどんな好影響を与えるかは述べられるようにしたほうがいいです。卒業後のビジョンについては、「現段階では〇〇科に行きたいと考えている(+理由)」くらいを、(あくまで謙虚に、視野が狭いと思われないように)言えれば十分と思います。また、大抵の国立大医学部には地域の医療を担うという使命があるので、卒後も地域に残る姿勢は喜ばれると思います(ただ、根拠もなしに「この地域の医療に貢献したい」と主張しても信じてもらえないとは思います)。いずれにしても、事前に志望大学の〇〇科や地域医療の現状について調べていれば、「(なぜ他大学ではなく)〇〇大学を志望するのか」と聞かれた際に回答しやすいというメリットはあります。この質問は定番なので、ぜひ回答できるようにしておいてください。


企業就活との類似と違い(特に編入試験)

18歳の若者を採用するには「筆記試験で基礎学力チェック+面接でよっぽど変なのを除く」というスタンスですが、医学部の編入試験ではある程度の即戦力を求められます。これは多くの日本の企業が、新卒採用では(学歴に基づく)ポテンシャル採用、中途では経験者・即戦力採用、という方針になっているのと似ていると思います。編入はいわば中途採用なので、自分が採用されることによって大学や日本の医療に利益(金銭的という意味ではない)がもたらされるであろうことを面接官に納得してもらわなくてはいけません。

一般にイメージされる面接では、受験生1人+面接官3人程度だと思いますが、医学部編入では特殊な形式もあるので注意が必要です。集団面接やグループディスカッションなど、新卒の企業就活のような選考もあるようです。あんまり言うと私が予備校の回し者みたいですが、面接情報の収集には予備校の利用をお勧めします。人によっては、予備校仲間と練習することが面接対策として役に立ったりするようです(私は全くそういうのはやっていませんが)。
関連記事:
医学部学士編入の費用と予備校の利用価値

企業就活と異なる点としては、少なくとも以下の2点は挙げられると思います。

その1)企業ほどは、コミュニケーション能力のうち「スラスラ話す」「ハキハキしている」のようなことは求められていないかもしれません。なぜなら私が大失敗したからです。最初に志望理由を話す段階から緊張で吃りまくりました。企業でも研究職なら滑舌の良さはそれほど求められないと思いますけど、それにしても自分の吃り具合はひどかったです。患者さんを診る医師がこんなではダメだなと自分でも思ってしまいました。しかし予想外の合格をいただきました。

その2)企業就活よりは基準が明確です。企業就活では筆記試験が足切りに利用されるのに対し、入学試験では面接試験が足切りに利用されるという感じです(順番が前後してますが、面接の目的は「よっぽど変なのを除く」)。基本的には試験の点数が合否を決めます。年齢や経歴に不利なところがあっても、筆記で点数を取れば跳ね返せる場合が多いです。面接は筆記試験よりはブラックボックスではありますが、募集要項や大学ウェブサイトを見れば詳しめにほしい人材が書かれており、当然ながら、会社の就活よりもずっと分かりやすいです。医療の問題や大学の課題なども比較的オープンに公開されています。編入試験は、受験者がその解決に(将来)貢献することを大学側に示すという、シンプルなタスクとして捉えていいと思います。(ここに困難を感じるなら、編入でなくて一般入試の方がいいかもしれません。)


追記:これは会社の就活でも同じですが、よくある「医師へのあこがれ」のような発言は期待されていません。医師をディスってもいけませんが、期待されているのはむしろ逆で、「医療が不十分だからこそ、現状を変えたい・貢献したい」くらいの姿勢だと思います(もちろんここには、自分がそれを実現できるという根拠が必要です)。


念のための追記:面接の服装は基本的にスーツ。男性は必ずスーツ。


私が利用した本の紹介
小論文用の本なのですが、私はこの本で時事問題対策はしていました。コンパクトなんで面接直前にもこれを眺めていました。最近の医療ネタ、特に医療倫理的な問題について考えを問われることは多いので、1冊くらいこの手の本を持っておくといいと思います。

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