医学部学士編入|感想と振り返り・キャリア方向転換の感想と見通しについて

自己採点の結果、来年度から研修医になれそうなことが分かったので、医学部での5年間を総括してみたいと思います。

医学部編入や再受験に興味のある人向けですが、あくまで個人の感想なのでご留意ください。



医学部での勉強について

決して楽とは言えませんし、特に暗記すべき情報量の多さに驚くことは多かったですが、勉強する目的が「国試に受かって医師になるため」と明確に定められているので、それほど勉強を苦に感じることはありませんでした。国試の勉強についても、予備校の動画教材をはじめ、教科書もわかりやすい定番のものが揃っており、「やるべき勉強内容も明確」という点で精神衛生的に良かったです。特に低学年の頃は、国試までの道のりは長く遠いと感じていましたが、毎日の勉強で医師に近づいていることを確信できるということは、特に、私のような回り道して医学部に入った学生にとっては安心できる要因になると思います。

国家試験は医学生の約90%(現役医学生なら約95%)が受かる試験であり、よく言われるように、重要なのは「周りの人と同じことをやること」と思います。個人的には、高等教育機関で「周りの人と同じようにやること」が推奨されるとしたら、この状況に多少の違和感は持ってしまいますが、現状として、国試に受かるために主体的に何か考えて動く必要は全くなく、学生としてこの点非常に楽だと感じました。「皆と同じことをすべき」は私が前の大学で身に着けた価値観とは正反対なのですが、少なくとも国試の勉強においては、難しいことは殆ど考えず(=覚えることは多いが総じて難しいわけではない)、決まった勉強さえやればゴールに近づいていける安心感は心強かったです。

医学部入学からエスカレーター式に医師を養成する仕組みがよく整っていると感じることも多かったです。不満が全くないわけではありませんが、大学のカリキュラムも然りだし、初期研修先を決めるマッチングの仕組み等も、他学部の、特に文系学生がやらされている就活の茶番劇と比べたら、無駄は少なくシステマチックで効率的と感じました。これは国試勉強においても同様で、大手予備校が質の高い教材を提供しているからこそ、効率的に勉強して(入学前の自分では信じられないほど)膨大と思える知識を頭に入れることができたのだと感じています。


医師の仕事とキャリアについて

「平均的に勉強していけば、近い将来に人の役に立つ仕事ができ、かつ、生活が苦しくなるリスクも少ない」というのは実に素晴らしいことと感じます。「どんな仕事も人の役に立つ」という意見もあると思いますが、現実は「人を不幸にしてお金を得る」「人を幸せにするが、同時に他の人を不幸にする仕事」「誰も幸せにも不幸にもしない仕事」など色々パターンがあると思います(利益を生み出すのが仕事の本質でありこれを否定したいわけではないです)。その中で、私には医師は人の幸福に貢献できる確率が高い仕事だと思えて、ゆえにこの職に魅力を感じます。少なくとも現段階(医学部卒業段階)で思うに、「この程度の苦労で医師になれるなんて、コスパ最強。得られるものに対してを考えれば、とても楽」、です。(*あくまでコスパの観点です)

単に私の、「過去一度目指したキャリアが自分に向いていなかった」だけかもしれませんが、医学生として過ごした5年間は高校生時分まで戻ったような、整備された比較的平易な道だったし、今の自分の目前にも、かつて自分が博士取得後に見た茨道ではなくて、人が歩ける道があるように見えます。平坦ではないと思いますが自分でも進んでいけそうな道です。目標(*1)にたどり着くための、自分にとっての最適経路をやっと見つけられたと思っています。全力で進んでいきたいです。

(*1)がんを制圧する仕事に取り組みたくて当初研究者を目指したが能力が足りなかった。(それで医師に方向転換したが自身の軸が変わったわけではないです)

今後もそれで十分だなんて毛頭思いませんが、少なくとも「ペーパーテストができるだけで、人助けになって自分も経済的に生活できる見通しが立つ」という、入学前の想定(医学部人気が高まる所以としても有名)は今のところ崩れていません。素晴らしいと思います。(・・・とはいえ、それだけで終わるつもりもないこともまた、自分に対して念押ししておきたいと思います。)以上。