テニュアトラック助教、特任、特命、助教いろいろ何が違うのか。

私の前職は大学の助教だったのですが、最近、「〇〇助教」というふうに種類が多すぎてとても分かりにくい状況だと思います。これら、〇〇助教にはどんな違いがあるのでしょうか。

そこで今回のブログ記事では、色々ある「〇〇助教」について整理してみることにしました。



テニュアトラック助教は普通の助教と何が違う?

初めに、文部科学省のサイトにテニュアトラック制についての説明があったので、以下に抜粋します。(引用:https://www.jst.go.jp/tenure/about.html

テニュアトラック制とは
・博士号取得後10年以内の若手研究者を対象とすること
・一定の任期(5年)を付して雇用すること
・公募を実施し、公正・透明な選考方法を採っていること
・研究主宰者(Principal Investigator:PI)として、自立して研究活動に専念できる環境が整備されていること
・任期終了後のテニュアポスト(安定的な職)が用意されていること

 

「テニュアトラック制」というのは、年齢の若い研究者が「パーマネント職(任期なしの終身雇用)に就く前の一時的ポジション」という意味合いで用いられている言葉のようです。「テニュア(tenure)」の意味は本来それ自体が「パーマネント職(任期無しの終身雇用)」の意味だと思いますが、ここでは「テニュア」じゃなくて、「テニュアトラック」なので、最初の契約時には任期が存在します。そして任期が終わる際に、「公正・透明な審査により、任期後にテニュアポストに採用するか否かが審査される」ようです。この意味では、テニュアトラック助教も普通の助教とあまり差がない印象は受けます。普通の助教であっても「任期は数年で、勤務期間の業績を元に雇用更新が審査される」(というタテマエ)の大学が多いからです。

採用される側の立場で考えると、普通の助教ポジションの更新よりも厳しく審査されそうですし、既に研究者として独立しつつある人のためのポジションというところが大きな特徴だと思えます。文科省の解説によると、「研究主宰者として自立して研究活動に専念できる環境が整備されていること」がテニュアトラックという名称を使って教員募集する際に条件になるようですが、この運用がどの程度上手くいっているかについては、個別の大学の状況を調べてみるしかないかもしれません。一昔前に、「助手」を改めて「助教」と名称変更した際も、「教授から独立した職位として位置づける」ためだったのですが、テニュアトラック助教は本当に教授から独立した存在なのか、普通の助教とはどの程度違うのか、興味深く思います。


特命・特任助教はポスドクと何が違う?

文科省が大学政策を何か行った際、それが良い結果になる事例は過去あまりないのですが、「テニュアトラック助教」の評価に関しては必ずしも悪くないようです。一方「特命助教」「特任助教」はポスドク(博士研究員)の言い換えに過ぎない場合がほとんどですから注意が必要です。一般的に、雇用形態として言及される際に「特命」や「特任」が付いていれば、否定的に考えられることが多いです。雇用は一年更新、プロジェクト単位だったりするので、雇用は不安定。ポスドクと同じで、(自分で研究費を獲得していない場合は特に)研究における独立性は皆無だと思って良いです。

大抵、特任で採用される場合、「公正・透明な審査で採用」という概念もありません。ポスドクと違う点としては、一応助教なので教育業務が発生することもあるようです。研究費を自身で獲得していない場合、早めに脱出しないとキャリアが詰んでしまう危険もはらんでいます。注意。参考記事もどうぞご覧ください→「博士・ポスドクと任期付き助教の末路


結局は能力(業績)とコネと運。任期の問題は小さい

最後に簡単に私なりの考えを述べたいと思います。

上で書いた内容と矛盾しそうですが、アカデミアキャリアの若い時期に限れば、任期の短さはそれほど気にしなくて良いと思います。というのも、たとえ1年更新の契約であっても、よほど能力や運がない場合以外、1年で雇い止めされることはほとんどないからです。逆に、勤務している大学で任期が残っていても、業績があってより良い職場に転職できる人であれば、助教から講師、准教授になるために他大学に移っていきます。アカデミアのキャリアでは業績を携えて研究の場を移動し、助教から講師、最終的には教授へと昇進していくのがスタンダードです。一つの場所にとどまることはないのです。

私は助教に偶然なれて、そこで限界が見えてしまったから退職したのですが、どんなキャリアであっても、大事なのは「超えられない壁が見えた時に引き返す選択肢を残しておく」だと思います。正規の助教であれば、(自分の上司である)教授が退官するまでは安泰って考える人が多いと思いますが、それまでに業績やコネを十分作っておくのが必要で、それが無理ならさっさと大学の研究者キャリアからは降りるのがよいと思います。

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