医学部再受験と編入学試験の難易度比較
この記事では、医学部の再受験(=一般入試:センター試験と二次試験)と学士編入学のための入試(=選考は大学によって異なる)の難しさを比較します。具体例を挙げるのでそれも参考になるかもしれません。
難易度は人に依ります
倍率が高いのは学士編入学の方なので、一般的には一般入試による再受験よりも編入学試験が難しいと考えられていますが、そもそも大学が求める人材が各々で異なっているので、受験者の能力や経歴によって、どちらが難しいかどうかは変わります。大学が公表する学士編入試験の倍率が15-30倍程度であることにビビッてはいけません。
例えば、生命科学系の研究者(大学院生)であれば、生命科学と科学英語に強みがあり、且つ過去の受験勉強から歳月が経っているので、通常、学士編入学の方が相対的に易しいはずです。受験勉強の記憶も薄まっていることでしょうから、典型的受験科目(国数物化)が必要な一般入試では対策に時間がかかってしまい、非効率だと思います。
逆に、生命科学に特化した経歴を持たない大多数の人にとっては、一般入試の方が相対的に簡単になる場合が多いと思います。特に、研究医志望者を期待して編入学制度を設けている大学では、試験問題もそれ用(=研究的な能力を調べる目的)になっている場合があり、生命科学専攻の大学院生やポスドクにとって有利な内容です。なので、生命科学の経歴がなければ「相対的には不利」になると思います。
学士編入制度のある大学の中でも、試験科目設定は色々あるのでその点には注意が必要です。例えば、生命科学・英語に加え、物理化学を課す大学では一般入試に近い傾向があると考えてもいいと思います。
非生命科学系の(理系の)受験者にとっては、センター試験の配点比が高い大学が入りやすいかもしれません(例:信州大学)。二次試験と比べて、出題範囲が明瞭で、対策次第で満点に近づけられるのがセンター試験ですから、それなりに要領よく勉強できる優秀な社会人・学生なら、短期決戦での合格が見込めます。(ただし、30, 40代になると高齢者入学お断りの大学もあるので、そういう大学を避ける必要は出てきます。)
偏差値・経歴の具体例
上記の通り、数値で万人向けの難易度を求めるのが困難なのですが、私の周囲の具体例を挙げるだけで、それなりの参考になると思い、紹介してみます。
以下は、私の知り合いの、医学部に一般入試で再入学した学生ならびに学士編入学した学生の簡易経歴です。(注:国立大やや上位の知り合いが多いので、全国的にはもう少し見劣りすると思う経歴でも大丈夫だと思います。また、大事なのは試験の得点率なので、あくまで参考までに、です)
〔学士編入生〕
20代前半(女)米国医学部中退>学士編入
20代前半(男)理系修士課程修了>理系メーカー研究職>学士編入
20代前半(男)理系修士課程修了>会社勤務(文系職)>学士編入
20代前半(女)理系修士課程修了>学士編入
30代前半(男)理系修士課程修了>製薬会社研究職>学士編入
30代前半(男)理系博士課程修了>ポスドク>学士編入
〔一般入試生〕
20代後半(男)臨床検査技師病院勤務>一般入試
20代後半(女)理系博士課程中退>一般入試
30代前半(男)理系博士課程修了>特任助教>一般入試
30代前半(男)理系修士課程修了>理系メーカー研究職>一般入試
上記の例だとサンプル数が少ないため有意とは言えないかもですが、出身学部を比べると、やや学士編入生の方が高偏差値の傾向がありました。
また、絶対というわけではなさそうですが、学士編入者の経歴では、「修士課程修了者」で且つ、「何らかのアピールできそうな経歴がある」ということが相当プラスに働きそうな印象です。
P.S. 新しい記事(医学部学士編入生と再受験生の合格者の経歴・学歴まとめ)で、情報を追記したのでぜひご覧ください。(2019/3)
①【大人の医学部受験】元医学部教員の医学生が「学士編入」をゼロから詳しく解説
→ 医学部編入に必要な情報を網羅しています。
②医学生向け研究の始め方・取り組み方ガイド(医学生・学士編入志望者に有用)
③私が大学教員を辞めて医学生になった経緯(研究関係者・学士編入志望者に有用)
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