医学部学士編入の勉強法とお勧め参考書(独学者用)

この記事では、主に生命科学の試験対策として私が行った勉強を書いていき、その中から特に役立ちそうな情報やお勧め参考書を選んで解説します。

元々私は、生命科学+英語のみを試験科目とする大学しか受験しておらず、試験勉強のほとんどを生命科学に割きました。なので生命科学の対策に絞って、説明していきます。できるだけ一般的な情報を書きますが、情報は取捨選択し、自分に合う方法を見つけることを心がけてください。


私のやり方ですが、基本的に生命科学では、定番の教科書を一通りノートに書くなどして丸暗記したら、次は問題演習する、という勉強法でよいと思います。問題演習の答え合わせがおぼつかない人は、独学では時間がかかるので予備校の講座を受けた方が結局は早道かもしれません

前置き:高校生物学

前置き的ですが、私が初めにやったのは、高校生物の勉強でした。編入時期(4月)の約1年半前頃に、2週間くらいかけました。

生物の必修整理ノート 新課程版 (要点を書き込むだけで覚える)

植物や生態学など、医学部入試で出ないであろう問題は無視しました。私は高校では生物未履修だったので、どんな感じかな、と調べる目的が主でした。簡単に対策できそうなので、これをやらなかったことで生物履修の若いライバルに負けたら嫌だと考えていました。少なくともこの本の範囲では、大学で生物学をやっていれば難しいと感じる内容はなかったです。

大学でも生物をやっていない人にとっては、高校生物に取り組むのはやや負担かもしれませんので、省いてもいいと思います。優先度は後述のEssentialやKALS要項集の方が高いです。高校で生物を履修していた人は、もっと自分に合った方法で1, 2週間程度の復習はやってもいいと思います。ただし、いずれにしても後述の大学レベルの細胞生物学等を勉強するほうがずっと大事です。


定番はEssential細胞生物学。河合塾作成の「要項集」は良書

試験対策として、最も優れている本は河合塾KALSの「要項集」だと思います。オークションやフリマアプリで1,2万円台で売られていることが多いです。河合塾で生命科学の講座を受講する必要がなく、独学で済ます人でも、この本だけは手に入れると役に立つと思います。ただし「生命科学を既に分かっている人向け」です。受講料が高いのでコスパは分かりませんが、生命科学を学んだことがない人にとっての最短ルートは、河合塾(などの予備校)の講座受講だとは思います。「要項集」は非常によく情報が整理されているので、(既に生命科学を学んだ人にとって)記憶の定着に役立つほか、本の文面を丸暗記すれば記述式試験の対策にも使えると思います。

この本の中身は主に、

・細胞生物学
・生化学
・分子生物学
・生理学

と分かれていて、医学部編入ではこの順に対策の必要性が高いです。生理学以外の3つは互いの関連が強いのでグループ分けしにくいことも多いですが、勉強するときも計画しやすいのでこのグループで考えていました。

大学院で分子生物学を既習の人にとっては、要項集で復習&頭の整理するのが便利ですが、特に習ってない人は以下の教科書をお勧めします。(習った人も読み返すことを推奨します。)

Essential細胞生物学

定番の教科書で、これが相応しい場合が多いと思います。大学でも生物系の講義ではしばしば指定のテキストになっています。私はまさにこの分野の研究者だったのですが、持っていたEssentialが何版か前の古いものだったので、図書館で最新版を2週間借りて流し読みで済ませました。私みたいなケチな人以外は、自分で買って勉強した方がはかどるとは思います。

Essential細胞生物学の内容は高校生物未履修であっても十分理解できるはずです。全体的にかなり丁寧な説明ですが、厚いし冗長すぎる感じもあるので、ややコンパクトな「図解入門よくわかる分子生物学の基本としくみ」の方も個人的には良書だと思ってます。こちらは要項集ほどではないですが内容がよく整理されており、読み物的な感じです。(Essentialで間に合う人にこちらの本はあまり要らないと思います。時間がなかったり、Essentialが合わなかった人は検討してみてはいかが?という程度です。)

切羽詰まっていないけど医学部編入試験の受験を検討しているような人も、「とりあえず」このEssential細胞生物学は買っていいと思います。丸暗記すればそれだけで合格圏内なんで、お買い得な感じがします。


生化学&生理学はEssentialでは不十分

Essential細胞生物学で合格圏には入れますが、記念受験者以外はこの程度の対策はしているので差が付きにくいです。差がつくパターンの一例として、生化学や生理学でいかに他の人が対策していないマイナー知識を記憶しているか、というのが挙げられると思います(自己分析では、私の合格パターンはこれです)。私は以下の本を使いました:

集中講義 生化学
集中講義 生理学

上述のEssential細胞生物学では、生化学の内容が薄く、生理学は範囲外なのでどちらも他の本が必要だと思います。一部の医療系学部卒の人にとっては不要かもしれませんが、生物学のバックグラウンドで勉強してきた人は多分、「医学的な」生化学を学んでいないので、医学生向けの生化学の本を購入してやり直すのが効率的な感じがします。

集中講義シリーズは、見開きの2ページで1テーマが割り振られているので、勉強に便利です。さらに、見開きの左上のタイトルが疑問文(例:膜脂質はシグナル伝達にどうかかわるか?)で、それに対する数行の模範解答が直後に付き、それから下の2ページ分が解説+イラストという構成です。これは、特に記述式の試験問題対策にとても有用な構成と思います。レベルも医学部学士編入に合っているので是非お勧めしたい本です。

他の本では:

シンプル生化学
シンプル生理学

のシリーズを使用している人も多いようなので、合う人には合うのだと思います。私には、シンプル過ぎて説明が足りない・頭に入らない教科書だったので、購入したけどほとんど使用しませんでした。

編入生のブログなんかを見ると:

ガイトン生理学
標準生理学

のような、厚くて高価な教科書が推奨されていたりしますが、編入試験レベルでは不要だと思います。よっぽど余裕のある人以外は医学部に入ってから買ったら十分だと思います。(わかんないけど、初学者に厚い本を勧めてビビらせたいのか何なのか全く私には推奨する意図が不明なくらいです)。むしろ、私は薄い本、例えば:

イラストでまなぶ生理学(上述の生理学の本でてこずった人にお勧め)
ぜんぶわかる人体解剖図(臓器の構造が気になる人にお勧め)

とかを勧めたいです。どちらも、看護学科の一年生が手にするレベルなのでストレスなくスラスラ頭に入ります。「解剖学」は編入試験での優先度は高くないですが、循環器系(心臓の構造含む)とか、呼吸器系とかはたまに出題されます。生理学(機能)を理解するのに構造の理解が手助けになるので、解剖学の平易な本を持っていると便利なこともあると思います。そのために、余裕があったら「ぜんぶわかる人体解剖図」は買ってよい感じがします(私は合格後に勉強用に買ってみました)。


問題演習のやり方と使用した教材

全体的な方針としては、上述した各教科書をノート(とウェブページ)にまとめながら、問題演習していました。問題はKALS要項集に掲載されているものには完璧に答えられるようにしたほか、上述の集中講義シリーズの各ページ記載の問題にも大体答えられるようにしました。目安になるかわかりませんが、私は要項集を3周(記憶できた範囲は2周目以降省く)するのに、半年弱かけました。(*生物学のバックグラウンドがあり、仕事しながらゆっくり受験勉強した私の場合です。可能なペースはかなり人に依ると思います。)


生命科学の試験の出題パターンのうち「理解して記憶したら答えられる問題(「~について説明せよ」とか)」には対策しやすいのですが、一方で、「実験データを解釈するような思考問題」は、生物系の大学院修了者以外にとって少し難しいかもしれません。自信のない人は:

医学部編入への生命科学演習

は練習用にいいと思います。

別案としては、河合塾でKALS生命科学を受講したら手に入るテキストやワークブックなども利用価値が高いと思います。市販の「医学部編入への生命科学演習」は10年近く前の本で古いので、心配な人はKALS受講者用の問題集の方がいいかもしれません(オークション等では1万円前後します)。

また、私は河合塾で生命科学は受講していませんでしたが、定期テストのようなものは生命科学も含めて送られてきたので、演習には役立ちました。(ちなみに、偏差値等も算出されるのでついつい注目してしまうのですが、数値自体はそれほど参考にしなくてもいい感触でした。「志望大学の試験問題を」解ければ十分だからです。私は河合塾の判定基準では「どこかに合格できる可能性も低い」点数でした。)


読み物系の新書も色々紹介したいですが次のページに移ります。新書を読む試験対策上の目的は、「医学の(最先端の)知識を得る」「医療の課題や医師キャリアを知る」という2点で、(明確に分けられる訳ではないけれども)前者は主に筆記試験対策、後者は面接対策です。

<つづく>

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