研究者という職業の魅力(メリットとデメリット)

修士課程から数えると8年くらい研究に従事して、現在助教になった研究者視点の記事です。助教の仕事は「研究」だけでなく「学生教育」など色々ありますが、この記事では「研究」に焦点をあてて、その魅力的な面と、そうでない面を説明していきたいと思います。


魅力1:クリエイティブな仕事

最近は予算の減少や即応用重視の風潮が強まり、大学研究者の研究自由度も下がってはいるとは思いますが、それでも大部分の企業研究者と比較すればずっと自由に研究を行える可能性が高いと思います。会社での研究は会社の利益を指向しなければならないのに対し、大学の基礎研究では、やはり自然現象の解明自体に意義があると考える価値観が強く存在します。

「重箱の隅をつついている」ような小さな自然現象であっても、世界中の誰も知らない自然現象・原理を唯一自分が知っているという状況にはとても感慨深いものがあります。それを積み重ね、まとめて論文として世界に発表するのが職業研究者の仕事です。

その発表した内容の重要性が認められれば、現象や方程式に自分の名前が付く。そこまでならなくても、重要な論文は(自分が死んでも)引用され続け、「~を解明した研究者、誰それ」という風に歴史に名前が残ります。

また、自然科学の研究者が解明する対象は、有史以前から自然とか宇宙とかが秘めていた原理であるという意味で、時空間的に広いものを相手にしていることになり、これも研究が上手くいっているときに感じる快感の理由だと思います。


魅力2:世界を変える可能性がある

そして研究は、より自然の原理原則を相手にしているため、世の中を「大きく」変えられる可能性を秘めていると言えます。

身の回りのものほとんどが科学の成果だと思いますが、医学分野の例でいえば抗生物質やワクチンの発見・発明は人間の歴史を変えた典型的な例だと思います。というのも100年前の人たちは、それらの科学知識がないために、平均寿命は現在の約半分で人生を終えていましたから。2倍長生きになれる、というのは私たちにとってこれ以上ないくらいに根本的だと思います。

科学者の仕事は、未来の何万人(かもっとたくさん)の人を助ける可能性を含む仕事でもあり、その意味でも大きな魅力がある職業だと感じます。


しかし研究職の欠点もいろいろある

とはいうものの、世の中そんなおいしいだけの仕事があるわけありません。実際、研究者の仕事についても、デメリットとして「日々失敗の繰り返し」「失敗したら失職しやすい」などが挙げられます。

職業研究者として働くうえでネガティブな面も多いので、以下のページで解説していきたいと思います。

研究者という職業2(研究職デメリット)
*こちらは「研究自体のネガティブな面」に関する記事です。

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