生物系の就職難易度ランキング

バイオ系は全体として就職難の傾向が強いですが、その中でも難易度に差があるので比較解説してみます。

一応、20代から30代を想定して、特に生命科学に関連する会社を考えることにします。記載の偏差値は独断なので間違っていても許してください。学生向けの記事です。



難易度高:製薬研究職、旧帝の助教

製薬研究職の就職難易度は総じてかなり高いです。旧帝の大学院での研究経験があれば採用候補になります。大手製薬会社なら修士・博士どちらも採用します。ポスドク以上でも専門性がマッチしていたら転職できたりします。学部卒だと基本的に相手にされません。薬学部でいわゆる生物系以外の研究を行っていたら、採用候補者(ライバル)が少ないので有利です。具体的には、例えば旧帝の薬学研究科でメディシナルケミストリとかドラッグデリバリなど製薬と関係する研究を行っていたら引く手あまたかもしれません。それ以外の学生・研究者にとって製薬会社の研究職は、不可能ではないですが、難易度がとても高いです。偏差値75くらい。

博士以上を研究職として採用しそうな製薬会社としては、武田薬品工業・第一三共・アステラス・大塚製薬・中外製薬・田辺三菱製薬・大日本住友製薬・協和発酵キリン、などが挙げられると思います。その他、大手の外資系製薬ではMSL(メディカルサイエンスリエゾン)や開発職でも博士修了者が採用候補になる可能性があります(ポスドクは稀かもしれません)。これら大手企業に就けたら給与もよいでしょう。これらも偏差値75くらい(数字は適当です)。

アカデミアなら旧帝の助教に就くにはやはり(コネだけでなく)業績が必要で、難易度が高いと感じます。ただ、個別の事情やタイミングに依るところが大きいので、一般化は少し難しいです。この場合、もちろん博士修了し学位取得していることが最低用件です。(偏差値は65-70くらい)


難易度中:中堅以下の製薬会社や、食品会社の研究職

こちらは大手製薬会社と違って、修士課程修了者しか採用しません。博士だと、専門性がドンピシャでマッチした場合に採用される可能性もゼロではない、という程度。大手の製薬会社と比べてレベルの高い研究をしていない場合が多いです。また、概して製薬以外の企業にとって、サイエンスの比重は高くないです。顧客ウケする製品を作るのが大半のメーカーの存在意義です。よりよい薬を作るために自然の摂理を相手にしている新薬メーカーの研究者とは結構違います。なので、製薬会社以外では別にサイエンティスト(研究者)は必要とされていません。修士課程なら、偏差値60くらいで研究職に就けると思います。博士はオーバースペック扱いです。

大学院での経験が長い、博士課程やポスドクの就職先としては、実験機器メーカー・試薬メーカーなどが挙げられます。これらは製薬系よりは難易度が下がると思います。「アカデミアを顧客としている会社」に限られるので注意は必要です。特に外資系のメーカーは博士取得者でもネガティブな印象を持たれないことが多いです。大学院生なら経験があるかもしれませんが、メーカーのカスタマーサービスにメールで問い合わせすると、送信者の名前にPhDと付いていることが多々ありますね。ポスドクの転職先としても(場合によっては)候補になっているようです。偏差値55-60くらいだと思います。



難易度低:研究職の要素が小さい仕事

基本的に「研究職」に就くのが難しく、それ以外の職種は相対的に難易度が低いです。医療関係であれば、CROのモニター職、その他営業職(製薬会社ならMR)などが該当します。博士になってしまうと学歴が邪魔します。変な表現ですが、実際に会社は学歴を邪魔扱いするのです。また一概には言えませんが、MRを代表とする営業系では学歴よりも体育会系であることとか、顔立ちが綺麗だとかが重視されます。会社のステータスと社員の美人レベルが相関します。偏差値は会社に依りますが、給料の高いMRは60-65くらいの偏差値が必要かもしれないです。他はもっと低いと思います。

博士課程に進学したならポス毒コースの難易度は低いです。ただし基本的に博士の学位取得が必要なので、簡単とは言い切れません。また万年助教のリスクが高いですが、地方私立医科大学などでは若手医師の研究離れが原因で、生物系の博士取得者が比較的好条件で基礎医学系ラボで助教になれます。タイミングが全てなので運の要素が強いです。ポスドクとしてなら、地方大で偏差値50くらいでどこでも行けます。派遣会社なら40でもOKだと思います。

文中の偏差値は適当です。


新卒向けリンク:
就活ノート(就活生向け情報)。

既卒の研究者向け参考記事:
ポスドク・助教の転職先
研究者を「半分」諦める選択の例

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