医学部学士編入とは何か(初めての人向け)

このページでは、地方国立大医学部に学士編入した私が、はじめて「医学部学士編入」という言葉を聞いた人向けに解説します。


医学部学士編入の概要

募集要項などでよく見かける表現を使って言うと、医学部学士編入とは「医学以外の学問分野を専攻し、明確な目的意識を有する学士取得者(または取得見込みの者)」を、医学部の2年次または3年次に編入させる制度です。

学士編入制度には多様な人材の確保という大目的がありますが、大学によっては、研究医志望者を特に募集していたりとか、地域医療を担う人材を特に欲しがっていたりとか、若干の傾向はあります。なので、志望校の選定の時には、大学が編入生に何を期待しているかも考えてみるといいかもしれません。

編入の時期としては、2年次前期編入・2年次後期編入・3年次前期編入の3パターンがありますが、最近は編入時期の前倒し傾向が目立ちます。入学後に勉強することが多すぎて3年生から編入ではきつい、というのが要因のようです。

募集要項の開示時期や入試スケジュールは大学によって大きく異なっていて、早い大学では、入学の1年くらい前から準備が必要だったりします。試験日程が大学によって異なるのが「一般入試」との大きな違いであり、そのため、医学部学士編入を目指す受験生は「複数校の受験」が可能です。複数校の併願ができるので、一般入試よりも「一発勝負」的な要素が少ないです。


選考の方法は?

選考は、①書類選考 → ②筆記試験 → ③面接試験 のパターンが多いです。ただし、書類選考だけで不合格は出さない大学が多く、大抵の大学では、筆記試験を「一次試験」と呼んでいます。その場合、面接が「二次試験」となります。上述したように、医学部編入では複数校を受験できるので、各々の大学の受験生が増えて、結果的に倍率が高くなっています。しかし、複数校に合格した人は入学手続きを辞退するので、追加合格者が結構発生します。(なので、編入試験では見かけの倍率ほど難易度は高くないです。)

 試験の内容は大学によって様々ですが、全体的な傾向として:

 ・筆記試験では生命科学と英語が重要。
 ・面接も比較的厳しめ。

 ということが挙げられます。

筆記試験については、こちらの記事にまとめました。生命科学と英語が重要なので、大学院で生命科学を専攻し、英語論文に親しんだ人は総じてかなり有利だと思います。また、ちょっと逆説的ですが、生命科学と英語の対策を完璧にすれば、文系卒の受験者も合格する見込みがあったりします。なので、文系の人にとって、医学部の再受験(センター+二次試験対策)よりも編入が近道のこともあるかもしれません。リスクは高いかもしれませんが、文系の合格者も毎年いるようです。

面接の記事はこちらの記事に詳しめに書いています。重要度で言えば、筆記試験の方が大きいのですが、といっても一般入試のように単に形式的な面接が課されるわけではありません。割と、厳しいことも聞かれます。個人的には、企業の採用面接のような要素があると感じました。

 面接では:

 志望動機は?
 あなたはどういう人なの?これまでの経歴は?
 医療にどう貢献するの?

 さらに、業界(医療)の基礎知識も問われます。受験者どうしで集団討論させて、それを選考に利用する大学もあるようです。

関連記事
医学部学士編入スケジュールの注意点&体験記
医学部学士編入の費用と予備校の利用価値


どんな人が医学部編入に合格している?

ここからは特に、私が知る範囲での情報になるので注意してください。

(1)合格者のバックグラウンドの傾向
 結構色々な人がいますが、私の周りでは:

 ①医療従事者(薬剤師、獣医師・歯科医師・理学療法士・臨床検査技師)や、
 ②その他の理系学部出身で、大学院修士課程修了後に就職して数年働いた後の人、
 ③高偏差値大学(理系)を学部卒業と同時に医学部に編入学

 の人が多いです。

受験生の母集団での比率が分からないけど、意外と工学系など、生物学と無縁の学部出身者が多い感じがします。学部が生物系だったら試験でかなり有利だと思いますが、合格者をみると必ずしも生物系が多くない印象です。文系出身者も、少ないけれどたまにいます。他には、海外の大学を卒業し、現地のメディカルスクールに行かずに日本で編入学する人も多くいます。短期の留学経験者も含めると、何らかの海外経歴を持っている人がなぜか多いです(私の周りだけ多い可能性もありますが…)。

(2)合格者の年齢や学歴
私の周りの情報にすぎませんが、年齢では、25~30歳が多いです。若い人(30前後まで)しか採らない大学がある一方で、40, 50代でも合格できる大学が存在します。高齢であることの扱い(=どれだけマイナス評価されるか)が大学に依って異なるので、30歳前半以上の受験生は、志望校選定に若干の制限がでてくると思います。

学歴では、旧帝の学部卒の人が多いです。国立大学上位校の出身者は普通にいますが、下位校になると出身者はほとんど見かけません。私立だと慶應出身者を何人か知っているけど他を私は知らないです(早稲田出身者も多々いると聞きます)。

私の感覚なので責任持てませんが、学部時代の偏差値よりは、若干偏差値の高い医学部を目指せる感じです。ちょっと踏み込んで言うと、東大や京大で生物学を学んだ25歳前後の修士過程修了者は最も合格見込みが高いって感じです。目安、彼らは医学部の編入実施大学の中でも、上位の大学(*下記)を目指したらいいと思います。それ以外の経歴であっても、医学部学士編入の定員は全国に毎年200名程度もあるので、地方大学の医学科に滑り込むのはそれほど難しくないです。(少なくとも、世間的に思われているよりもずっと簡単。)


(*)医学科の編入学を実施している大学の中では、以下の大学は上位校と言っていいと思います:

(1)旧帝大(大阪・名古屋・北海道)
(2)旧六医大(千葉・岡山・金沢・長崎)+東京医科歯科・神戸

実施校リストは、こちらのページ

関連記事
医学部編入の難易度と倍率の実態
医学部編入の生命科学と大学選び(生物系向け)
医学部編入と再受験のはじめの一歩(やることの流れ)