生物系が就活で苦労する理由1

バイオ系大学院生の就活先は本当に少ないです。数少ない「専門性を活かせる仕事」は製薬会社の研究職になりますが、この競争率が非常に高いです。数百倍とか、大企業なら千倍になったりします。

大学院での研究分野にもよりますが、最も有利なのは一般的に薬学研究科の学生になるので、他の生物系は不利なことが多いです。また、ちょっと分野を変えて「食品会社の研究職」を目指すとなると、例外も多いですが農学系の学生が有利になります。あるいは研究職は倍率が高いから、製薬会社の開発職を目指す人も多いですが、こちらは6年制薬学部が多くを占めています。

実際のところ、偏差値・出身大学で見ると割に合わない(←これも変な考え方ですが)と感じられるところに就く人が多くなります。バイオ系大学院生は会社に入社すると、同期よりも出身大学偏差値は高くなるでしょう。これはバイオ・生物系専攻学生の宿命です。20世紀後半から学術的に分子生物学は流行しましたが、基礎研究のすそ野の広さに比べると、特に日本ではあまり産業に繋がっていないのです。

大学院での専攻内容を活かせる仕事に就きたい思うのは自然ですが、それに絞ってしまうと本当に就職口がなくなります。(バイオ実験系の人材派遣会社に登録はできるかもしれません。)

日本で医薬品売上1位の武田薬品工業さえも世界順位では10位以下。世界20位前後にアステラス、第一三共、大塚製薬などが続きます。これは日本の他の主力産業とは大違いです。加えて、日本ではバイオベンチャーが成長する素地はあまりありません。バイオ系の試薬を生産・販売している会社を含めるとバイオ大学院生の選択肢は広がりますが、それでも会社数は少なめです。そのため他分野の学生に比べて日本社会からのバイオ系学生の需要が少なく、相対的にバイオ系学生は就活で苦労することになります。

就職口が狭いとはいえ、日本の大手製薬会社では最先端の創薬研究が行われているので、バイオ系学生、たとえ博士課程であっても専門性がマッチしていれば歓迎されることがあります。ただ、「バイオ(生物)」のカテゴリで研究している大学院生の将来は他の分野よりも不安定です。創薬プロセスの中の、「有機合成」とか「薬物動態」とか「製剤研究」とかの技術は、わりと普遍的に製薬会社が求めている技術なので、関係する大学院生は歓迎されるでしょうが、一般的な分子生物学(遺伝子の性質を調べるような研究)は運やタイミングによりますが求職者過多の傾向が強いです。

生物系の大学院生が「細胞内のある分子・遺伝子の機能解析を大学院で行った」という場合は、その研究対象の分子自体が製薬会社側から見て魅力的(つまり創薬標的となりうる)と思われなくてはなりません。とはいえ創薬標的の流行は年単位で変わっていくものです。

また薬学系以外の研究室では一般に、創薬標的になりうるかどうかの基準では研究対象を選びませんから、「教授に与えられた研究テーマがたまたま製薬会社の興味と一致していたら、その大学院生は就活で有利になる」といったレベルのものです。運次第で薬学系学生を中心に楽な就活をしたりもしますが、大多数の生物学専攻の学生の就活は大変です。

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