生物系が就活で苦労する理由2

生物系が就活で苦労する理由1のつづきです。

バイオ系の大学院生が就活で苦労するのはやむを得ない面もあります。そもそも、バイオ実験は「ねるねるねるね」と喩えられるように、キットを用いて誰でもできるものですから。また、バッファー作成時のモル計算以上は理系の計算力も求められないことが多いです。

もっと、普遍的に考えると、理系の大学院生は「自身で問題を発見し解決する能力」を大学院で鍛えている建前なので、問題解決のプロであるコンサルティング会社に就職する人もいますが、さて、ほとんどの学生は教授のアイデアをそのまま検証するために実験するピペド(ピペット奴隷の略)であり、そうすることを教授からは期待されてさえいます。

別に自分で問題発見・解決しなくても、指導教官の指示で期待されたデータを出してしまえば、修士課程だけでなく博士課程まで修了できてしまいます。コンサルティング会社などでは、ビジネス上、従業員が何とか博士という肩書を持っていたほうがクライアントから信頼されるということで、わりと学位を重視していますが、別に学位自体が何かポジティブな実態を伴っているものではありません。


逆に、他分野と比べてバイオ系学生が有利な点があるとすれば、「英語力」はバイオ系大学院生の方が優れていることが多いとは感じます。バイオ系は何せ「人手・労働力確保」が研究室維持にとって死活問題であるので、外国からもソルジャー(ピペドの別名)を呼び寄せていることが多いです。

また、他分野と比べて日本ではバイオ産業が極めて弱いため、海外志向があり、国境をあまり意識しない印象があります。英語力必須であり、英語力がないと不利というか、恥ずかしい目にあいます。英語上達できる環境に、自然な環境で身を置きやすいことは数少ない生物・バイオ系学生のメリットかもしれません。

英語力の必要性は、製薬業界(特に臨床開発職、研究職)でも高まっています。会社で採用権を持つような年齢の方は、英語がダメダメな場合が多いですから、英語のできる学生はある程度有利になるでしょう。

ただ、「バイオ系」の技術自体を民間から求められていないということには変わりありません。悲しいことに。


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