大学教員、助教の労働時間と給料

大学教員の働き方は、世の中の他の職種の人と比べてかなり特殊です。

この記事では、大学教員の下っ端職である助教を経験した私が、教員の働き方の特徴について解説していきたいと思います。



「裁量労働制」が大学教員の勤務形態の特徴

「裁量労働制」が大学教員の労働形態として一般的です。これは、勤務時間が固定されておらず出勤・退勤の時間を自由に決められるという労働形態です。ルール的にはコアタイムも指定されていません。

よく言えば、「自由に働ける」のですが、研究業績を増やすことを至上命題としている若手研究者であれば、普通は働きすぎの状況になってしまいます。私の場合、短くても12時間、長くて15時間くらいは職場にいることが多いです。残業代の概念がありませんので、深夜に働くと残業代が出る会社や、残業しないことを推奨するようなホワイトな民間会社とは全く異なります。考えてみれば大学研究者は典型的なブラック企業に勤めているような感じです。

額面でいうと大学教員はそれなりの給料をいただいていますが、土日も働いているので、労働時間から年収を時給換算すると、アルバイトと大差ありません。時給1000円を少し超える程度かな。好きで仕事をやっているので文句は言えませんが、客観的に言うとあまり割の良い仕事とは言えないでしょう。

ポスドク(博士研究員)も普通は助教と同じくらいは働いていますが、平均的には給料が下がります。普通、大学の雑務のような仕事がポスドクにはないので、好きな研究により励めるのは良いことですが、経済的な待遇はよろしくありません。時給換算で1000円/時間 未満であることが多いと思います。

時給換算すると学生バイトレベルですが、長時間労働することによってまずまずの給料をいただているのが大学研究者です。忙しくて余暇時間がないので、お金の使い道も多くありません。学部から博士課程まで約10年にわたって、ほぼ無給での節約生活にも慣れてしまったので、別に贅沢したくて給料がほしいとも思いません。多分そういう人が多いと思います。


世の中の一般的企業に勤めて18時に退社して土日は完全に休むみたいに、仕事と分離したプライベートを充実させる生き方にも魅力を感じることはあります。また、大学の研究者は将来の不確定性が高く、研究業績が足りなければクビというのが普通なので、なかなか精神的安泰を得にくいです。この点はストレスの原因になりやすいと思います。よほど研究が好きで、自分の研究力や運に自信がある人にとっては素晴らしい職業だと思いますが…。

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