医学部学士編入と昨今の研究医不足

当ブログの医学部編入関係の記事で一番伝えたいメッセージは、「若いバイオ研究者は医学部を検討してみよう」です。

理由として、「医学部編入試験はバイオ系にとって簡単だから」という観点で書いている記事が多いのですが、このページでは「研究医不足という日本の現状も、バイオ系研究者にとってはある意味チャンスかもしれない」という観点で書いてみます。


研究医の現状は?

研究医とは「研究に携わる医師」のことです。「医学研究者(医学の研究者)」は医師とは限りませんが、「研究医」は医師であることを意味します。

若干情報が古いですが、文科省関係の講演資料「基礎医学研究者不足の現状と対策」でわかりやすく解説されており、下記のグラフをひとつ引用します。(基礎医学研究者不足の現状と対策(東京大学大学院医学系研究科研究科長・教授 清水孝雄))

上のグラフから、医師(MD)が基礎研究をするために大学院に進まなくなっているようです。よく言われている原因としては、臨床で経験を積んで専門医の資格を得ることに重点を置かれるように変わってきたからだとか、研究者の待遇が臨床医と比べて劣悪だからだとか言われています(非医師から見たら贅沢言い過ぎですが)。


研究医志望は歓迎される

理由はともかくとして、医学部生が大体学年100人いて、そのうち将来も研究を続けたいと考える人は1,2人あるいはゼロ人だったりもするのが最近の医学部の現状で、これでは日本の医学研究の未来がヤバイということで、「学士編入生として外部から研究志向のある学生を呼び込む」や、「医学生対象の各種研究医養成プログラム」といった施策を最近の大学は講じているわけです。

大学ごとの「研究医養成プログラム」については、こちら(研究医養成バックナンバー)外部リンクのページによくまとまっています。研究志向の医学生がどれだけ歓迎されるか何となく分かるかと思います。

バイオの研究室で疲弊している非医学部の学生や若い研究者は、もし医学寄りの研究に多少でも興味があるのなら医学部学士編入をお勧めします。

ポスドクでも30代なら大丈夫だと思います。
(関連記事:医学部編入と年齢制限


ちなみに、特に基礎医学研究に携わる(若い)医師の不足が甚だしいので、基礎医学分野であれば非医師が医学部で助教に就くことも多いです。はっきり言って非医師はあまり歓迎されていませんが、彼らにとってはとりあえず職にありつけるのでラッキーといえます。このまま医師の研究離れが進めば、教授クラスのポストも非医師に回ってくることが多くなるかもしれません。それはそれで、人材の配置が換わったという解釈でいいのかもしれませんが、シームレスに基礎医学と臨床をつなげる人材がいなくては、やはり日本の医療の将来的な損失につながるような気はします。

その意味で、(医学部編入の話に戻りますと)医学部に編入するバイオ系の院生や若手研究者が「医学部に入って臨床を学び、研究と臨床の橋渡しに携わりたい」という志望動機を持つことは、需要に応えているので好印象を与えると思います。