医学・生物学系の読み物紹介(医学部学士編入)

このページでは、医学部学士編入の試験対策に役立ちそうな「読み物系書籍」を紹介していきます。教科書と比べたらずっと優先度が低いので、参考程度にご覧ください。(教科書はこちらのページで紹介しています。)

教科書紹介ページと別に、わざわざこのページを作ったのは、以下の理由によります。

(1)編入試験での「生命科学」は範囲が不明確で、典型的な教科書に載っていない知識も問われる。
(2)面接試験でも、医学・医療に関する知識が問われる。

このページで紹介する本は、特に言及しない限り、1000円前後の新書サイズの本です。勉強の気分転換にもなるし、何冊か読んでみてはいかがでしょうか。



免疫学のよみもの

免疫学は、医学部編入や医学系の大学院入試でも頻出で要対策の分野ですが、初学者向けの良書が少ない気がします。私が薄い本でありながら素晴らしいと思ったのは、「新しい免疫入門」くらいです。新書サイズでありながら、妥協なく免疫の全体像が分かるようになっています。免疫学の一般向け書籍では、「説明のしやすさ」を優先して重要なところをスルーしている本も多いのですが、この本はそれがなくて、好感さえ持ちました。

免疫学を本格的に学びたい場合は、「免疫生物学」という大型本が定番で良書だと思いますが、厚いです。あるいは、「THE CELL」の本の最後の方でも簡単に「免疫」には触れられており、受験レベルならそれで十分なのですが、この本自体がかなり厚く、高価です。

安めの本で私が読んだ本の中では「免疫が挑むがんと難病」も、物語形式で読みやすくて面白かったです。この本は、日本の研究者を主体にして、最近の動向まで含まれているので、興味を持ちやすいと思います。ただし、試験に直接役立つ内容ではないと感じました。教養を得たり、モチベーションを上げるにはいいと思います。


・「新しい免疫入門」:お勧め度:☆☆☆☆☆
・「免疫が挑むがんと難病」:お勧め度:☆☆

あと、特にお勧めではないですが、「新しい自然免疫学」という、かなり易しい本も読みました。これは万人向けという本ではないですが、流し読みで自然免疫に絞った復習をする私の目的には合致していました。


再生医療やバイオテクよみもの

教科書であまり解説されない割に試験によく出る問題として、「遺伝子改変マウスの作成方法」の理解を問う問題があります。この手の話題は一般向け書籍が少ないですが、「ノックアウトマウスの一生」はかなりよくまとまっているので、初学者にもお勧めします。タイトルの「一生」は内容に合致しておらず不適切で、実際は「遺伝子改変マウス入門」という内容です。これから実験動物を扱う学部生や生物系大学院の受験生が読むのにも適当だと思います。

また、医療倫理の話題の中で「生殖医療」は頻出なので、最新の動向を知っておく必要があると当時私は考えていました。新書で、「生殖医療の衝撃」という本は、最近までの数十年の現状を広い視点から解説していて読みやすかったです。やや技術的&学術的な面に重点を置いた本で、「幹細胞と再生医療」もお勧めです。(医学部を受けるなら前者の方がいいかも。)


・「ノックアウトマウスの一生」:お勧め度:☆☆☆☆
・「生殖医療の衝撃」:お勧め度:☆☆☆☆
・「幹細胞と再生医療」:お勧め度:☆☆☆

医療倫理と言えば、最近話題のゲノム編集について、「ゲノム編集とは何か」という本も読んでみましたが、科学的な内容はなく、文体がセンセーショナルなだけのくだらない本でした(*CRISPR/Cas9に関しては、書籍でいいのが見つからなかったので、私はグーグル先生に聞いて済ませました。調べるなら、バイオ試薬の会社のウェブサイトなどが分かりやすいと思います。)



医学・生命科学全般のよみもの

話題が全般的な読み物は、教養を得る目的としてや、勉強のモチベーションを上げるのに役立つと思います。
・「セレンディピティと近代医学」お勧め度:☆☆☆☆

これは近代医学の歴史の読み物です。話が39つもあってお買い得でした。「マスタードガスが抗がん剤になった」等の有名な話も多いけれど、39もあれば知らない話が多かったです。文庫本で、この本ほど内容が充実した近代医学読み物はないと思います。特に、近代医学における新発見の過程(でのセレンディピティ)に着目しているので、私のように「研究志向があって医学部に入る人」に大お勧めします。


・「細胞の中の分子生物学」お勧め度:☆☆☆

こっちは「分子生物学の発展の歴史・発見物語」という感じの本です。タイトルがちょっと不思議ですが、内容的には「細胞の」ではなくて、確かに「細胞の中の」の方が合っていました。

既に大学院博士を出た私には、知っている内容が多過ぎて新鮮味が感じられなかったけれども、分子・細胞生物学の初学者で、この種類の本を読んだことがなければ楽しめると思います。よかったらどうぞ。

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