文系大学から医学部について

このページでは「理系出身医学生から見た、文系学部→医学部(編入/再受験)」について書いていきたいと思います。ポジティブな内容なのでよかったら見ていってください。


文系出身者に対するポジティブな見解の例

いきなり引用になりますが、長崎大の名誉教授の先生で興味深いコメントを見つけたので紹介したいと思います。

あくまで私の経験値ですが、例えば、学士入学での学生の場合、文系の学部出身者はいいですが、理系の学部出身者には、医師に向かない人が多かった。彼らは成績がいいから、医学部入試には合格する。けれども、授業にはついて行けない。その一因は、医学は、経験の学問なのに、彼らは理屈で考えてしまうからだと思います。医学は物理や化学とは違うのです。それが分かっていないのでしょう。(「長崎大に行って、医師になれ」と言われた子供時代◆Vol.5(m3.com ニュース・医療維新)


理系出身の私はこのコメントを読んで、「そこまで理系出身者はダメか~!」と少し驚きましたが、実際に少なくとも以下2つのことは言えると思っています。

 ①一般に医学は理系学問と考えられているが、実はそうでもない。
 ②文系出身者自身が思っているほど、医学部は文系出身者を拒否していない。

①は医学部入学後のことなので簡単に言及するにとどめますが、確かに医学は経験の学問です。医学部の勉強では、ある程度の法則があることを学んだあと、暗記して暗記して暗記するというパターンがほとんどです。研究医になるにしても、数理的なスキルを用いることはあまりありません。

②「文系出身者が思っているほど、医学部は文系出身者を拒否していない」については、編入試験の場合は大学に依るところが大きいため、注意は必要です。学部時代に取得した理系科目の単位数の提出を求める医学部もあります。この場合、その大学は「文系ではなくて理系がほしい」と言っていると解釈してよいでしょう。

そういう大学もあるので、編入試験では確かに、文系出身者の選択肢は若干少なくなります。また編入試験では「表に出ない大学側の要望(どんな人材がほしいか)」があるので、「経歴が特殊だと全く拒否される」という事態もありうると思います。これは文系受験生に限った話ではないですが、再受験と比べて編入試験は選考がブラックボックスなので受験生にとってハイリスクと考えられます。ただ、募集要項に書いていない限り「文系出身者だから不利」ということは、それほどないと思います。


受験勉強では有利なところがあると思う

理系出身で医学部に編入した私からみると、文系出身者が医学部を志す際のハードルは、進路変更に伴う心理的な面が大きいと思います。実際的な問題はそれほど大きくないと思うのです。

編入での医学部入学を目指すなら、主に(分子)生物学の勉強が新しく必要になりますが、生物は暗記科目なので学習者が文系もしくは理系であることによる差はほぼありません。編入ではなく再受験するにしても、高校1,2年間分の学習内容で足りないところをやるわけなので、(高校時代から能力アップしていないとしても)必要時間は最大2年程度だと思います。

また、あまり一概には言えないですが、医学部受験を目指す偏差値レベルにいる大学では

 ・文系大学4年(比較的ヒマ)→就職(多忙でも、お金を稼げる)
 ・理系大学4年(比較的多忙)→大学院2年(比較的多忙・無職)

という傾向はあると思います。ヒマじゃない文系学生の方にはすみませんが、一般的に言えば、理系学部の方が実習レポート・セミナー・講義などで忙しいと思いますし、大学院に進学することで忙しさに拍車がかかることが多いと思います。なので、20代であれば単純に医学部受験のための勉強時間確保においては、文系学生の方が有利になると思います。

さらに、文系学生は4年で卒業して就職することが多いので、「受験費用・予備校費用を稼ぎやすい」というメリットもあると思います。なので、同学歴・同年齢の理系学生と比べると、生活に余裕がある場合が多く、予備校利用によって効率的に受験勉強できる人が多いと思います。

個別の事情に依存するとは思いますが、新しく生物(編入試験の場合)や数学理科(再受験の場合)を学ぶ気概さえあれば、一概に「文系だから不利」とも思えません。医学部受験が上手くいかなくて「文系だから~」というのは正しくないと思っています。


具体的な受験戦略・注意点

あくまで私の考えなので注意してほしいですが、医学部への編入を考えて注意点を列挙していきます。

(1)受験校選定を重視する。
文系合格の実績のある大学を選ぶのが安全だとは思います。ネットで探すと、長崎大、富山大、滋賀医大、鹿児島大、大分大、山口大、琉球大などが該当するようです(不確情報)。逆に、千葉大、神戸大、岡山大などは、募集基準からして難しいと思います(不確情報)。

(2)お金・時間を重視する。
確かに文系出身だと出遅れ感はありますが、多めに見積もっても2年程度の出遅れだと思います。学部時点での時間の余裕、大学卒業後の金銭的状況の面で文系の方が有利だと思うので、早めに取り掛かることと、実績のある予備校(KALS)の利用をやはりお勧めします。予備校は受験に特化しているので、理系学生が大学で生物学講義を受けているよりも効率がよいです。出遅れはある程度取り返せると思いますし、大抵、受験生ボリュームゾーンである20代半ばで置かれている状況は、大学に6年通っている理系学生より恵まれていると思います。

(3)リスクはできるだけ避ける。
逆に、「新しいことに挑戦する」という要素は文系学生にとっての方が大きいので、そういう時に付き物のリスクも理系学生よりも大きいと思います。ちょっと考えにくいですが「生物学の考え方が全く分からない」という状態もあり得ないわけではないので、例えば「いきなり貯金なしに退職して予備校」というようなハイリスクなやり方は控えた方がよい気がします。


以上、理系出身者からみた「文系から医学部受験」でした。文系出身者のブログなどでは見つからなかった観点を書いてみたので、適度に参考にしてみてください。