研究室の選び方(特に博士進学者向け)
このページでは特に、博士課程まで進学する予定の学部学生、および博士進学にあたり研究室変更を考えている修士課程の学生、を対象に、「研究室の選び方」を説明します。博士進学を考えた際、修士で就職してしまう学生の場合と比べて段違いに研究室選択が重要になります。加味すべき要素を順に説明していきますが、どの要素も互いに関連していることに注意してください。
修士課程で就職する人も含めた一般的な研究室選択については、研究室の選び方(一般理系ラボ)の記事などもご覧ください。
ラボの研究業績
必ず研究室ウェブサイトをチェックしてください。更新なされておらずウェブサイトの業績ページが数年前で止まっていたりする場合、大抵その間の業績はほとんどないです(業績があれば普通はアピールしますから)。一応PubmedやGoogle scholarで論文検索してもいいでしょう。博士課程で入学する予定であれば、当然論文(査読あり英語の)を書いて学位取得することが主目的であるので、研究室にD5, D6の学生がいると相当なリスクがあると考えるべきです。過去のメンバーを確認するのは難しいですが、筆頭著者が学生(またはポスドク)・最後の著者名(ラストオーサー)が教授、になっている論文のみをカウントし、それが研究室規模に見合った数なければ、ラボ選択の候補から外さなくてはなりません。生命科学分野では大論文(インパクトが高い、時間のかかる論文)を一発出す方が、低インパクトの論文を乱発するよりも好まれますから、小規模な研究室の場合は1年あたりの論文数が少ない場合があります。ただ、それでも研究室から出た(=論文のラストオーサーが教授名になっている)論文が1年に1報なければ研究室の活性がやや疑わしいです。
研究費
研究業績があれば研究費を取っているはず(今後取れるはず)なので心配は大きくないですが、もし業績の程度がわからなかったら調べた方が安心です。大抵の大学研究者にとってメインの研究財源は「科研費」であるので、科研費ウェブサイトで教授名で検索してみるといいでしょう。~年でいくら(円)といった情報があるので調べてみましょう。お金があれば研究の効率が増し、高価な機器・試薬の使用が選択肢に入るので研究の幅も広がります。学生にとっては、学生自身の能力に依らず、よりよい研究環境でハイレベルな研究が可能なのですから、よりお金を持っている研究室を選ぶ方が良いです。さらには研究室の研究費から「人件費」として学生に(普通は月数万円程度)の給料を払ってくれるラボもあります。自分の生活に余裕があることは数年間の大学院生活で重要です。大学院入学の際の研究室選択は「学生に選択権利のある」就活のようなものなので、遠慮せずお金のこと(入学金免除・奨学金・支援制度)を教授には尋ねましょう。(注:相手の持っているお金「研究費」を直接聞くのは少々失礼です)
研究室のメンバーと雰囲気
これは好みに依るでしょうが、ある程度の人数がいる方が研究室・教授(のやり方)になじめないリスクは低減されると思います。小人数だと教授が独裁者の危険がやや高い気がします。修士・博士・ポスドクがまんべんなくいる方が、色々なレベルの(+分野も少しずつ異なる)人とディスカッションできるから自分にプラスです。小人数だと運悪く先輩が無能だったりすると自分に被害がでます。また前述しましたがオーバードクターがいる場合は警戒(あるいは即刻候補から除外)してください。
また、研究室の雰囲気というのも案外大事です。この点でも、ある程度規模がある研究室の方が、自分と気が合う人がいる確率が高くなるので、ぼっちになるリスクが低くてよいと思います。ただし、雰囲気というのは上述した客観的な要素(研究業績・研究費)にも強く依存します。たとえば、研究業績が出なければ教授はイライラして学生にやつあたりします。研究が進まず卒業できない博士課程の学生は自分のことで精いっぱいで、後輩の面倒など見られません。彼らもイライラしています。業績がなければ研究費も得られないから、効率的に研究が進められなくなり、皆の不満が募る。お金があればテクニシャンや学部生バイトを雇って研究室の雑用をやってもらえますが、貧乏ラボでは学費を払っている大学院生がそれをやります。しかし、悲しいかな、貧乏ラボでは研究が進まないので彼らは学位取得が難しくなります。(>_<)
他にも研究室情報を色々ブログで紹介しています。ぜひ見て行ってください。