助教の仕事―研究と書類。学生と比べ
この記事は、「学生やポスドクと比較して」助教では研究関連のどんな仕事があるかについて解説します。大学事務で働いている人には周知の内容が多いと思います。学生やポスドク向けの記事です。特任助教の場合は、部分的に当てはまるところがあるかもしれませんが、どちらかというと彼らはポスドクに近いと思います。
研究費関連
「大学教員の書類が増えた」と最近よく言われますが具体的に何がどうなっているのか、イメージしづらい学生が多いと思います。学振や民間財団の研究助成金を得ている学生であれば、研究費関連での書類作成についてはイメージが沸くかもしれません。研究費関連の書類は多分、研究実績や研究能力に比例して増えていくので、年齢が増すにつれ、学生>ポスドク>助教>講師>准教授>教授、の順に増えていくのは間違いなさそうです。私はまだ助教であまり関わっていないですが、獲得研究費が増えると予算分配もややこしくなります。予算の出どころによって、買っていいものいけないものがあったり、雇っていい人いけない人があります。
研究を進めるための書類
生命科学系であれば、「遺伝子組み換え関係」「動物実験」「(人間を対象とする場合)倫理関係」の書類が多いと思います。学生は書類作成に関わっていないと思いますが、共同研究分担者などという立場で書類には名前が入っている場合が多いと思います。法律で決まっていることなので仕方ないです。大学内のそれぞれの審査機関に提出するため、(研究テーマ一つあたり)書類を数枚から数十枚くらい書く必要があります。大学によってテンプレートや審査の手順は異なると思いますが、内容は研究に関することなので大学教員が書いて、責任ある立場の教授がチェックするしかありません。私は下っ端なので研究室内の研究について書類を書いてるだけですが、大学内の書類をまとめて審査するような仕事を任されている教授は結構大変だと想像します。
遺伝子組み換え生物の書類が必要なのはもちろん、自然界に存在しない生物はちゃんと管理しないといけないからです。遺伝子改変マウスなどが脱走したら大変で、たまにニュースで報道される騒ぎになります。また「遺伝子組み換え生物」には、プラスミドを導入した大腸菌も該当していたりします。外来DNAを発現しているのですから、まあ、当然ですね。こういった組換え生物を、どの実験室でどうやって何の目的で作成するか、などをあらかじめ申請しておかなければなりません。
マウスであれば、実験室が動物を飼育する環境にあり、その許可を得ているかが問題になります。脱走防止措置として2重扉があるか、等がチェックされます。動物実験でも別の書類が必要、動物を犠牲にするのですから当然厳しい管理になります。その実験は本当に必要なのか?最低限の匹数で行うか?代替法はないのか?動物の苦痛緩和を心がけているか?まあ、当然ですね。。
研究がヒトを対象にするものであればもちろん倫理的にはさらに厳しくなります。医師が治療の効果を調べるような前向き研究の場合は、倫理審査がかなり厳しくなり、これ当然ですね。生物学で基礎系の研究をしていても、患者さんの血液試料が必要になるかもしれません。その時はインフォームドコンセントちゃんとしたか、研究の結果は公表するか、患者の利益はあるか、などなどを当然審査しなくてはなりません。亡くなった方の臓器の細胞だったり、採取に侵襲性を伴うものであればまた、別の審査が必要になるでしょう。書類が多くなりますが、、これも当然ですね。。。
学生なら、教員が全部お膳立てした状態で研究を進めている場合が多いように思います。(わかりませんが、私が学生のときはそうだったので。)学生は教員に心の中でお礼を言っておきましょう。