研究者キャリアの成功条件と資質

バイオ・生物系に限定すれば、研究者として成功するキャリアスタートの条件は、

・よい研究室に入って、教授(や他の研究者)から評価される

ということだと思います。この記事では、「よい研究室の選び方」と「教授・その他研究者に評価されるパターン」について私なりの考えを書きます。私の個人的意見であることに注意してください。


研究室選択で重要な2要素

大学院での研究室選択は、就職活動などとは異なり「学生側に選択権」があるので、よく考えて動くことが大切です。このタイミングでは、「よく考えていない学生」も多いので、比較的簡単に将来のライバルに差をつけることができます。

大学院での研究室選択で決定的に重要なのは次の二点だと思います。

(1) 研究室のレベル
(2) 教授の人間性


まず、 研究室レベルは「研究分野でトップ」の研究室を選ばなくてはなりません。マストです。できれば、同級生や全体的な研究環境が優れている、旧帝大のラボの方が好ましいです。

長い目で研究者のキャリアをみると、大学院生(ポスドク)→ 助教 → 教授、とキャリアを進めていくにつれ、大学や研究室のレベルが落ちていくパターンが普通です。若い研究者が、地方大学で業績を挙げて旧帝で教授に就任するパターンはあまりないのです。なので、選択権がある大学院入試のときに、できるだけよい環境で研究をスタートした方がいいと思います。いわゆる学歴ロンダリングでも問題ありません。

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しかし、研究のレベルを重視するあまり、「教授の人間性」を無視してはいけません。研究キャリアの始めの関門「学位取得」を教授の指導の下で達成しないといけません。教授が学生を「労働力」として認識している場合も多いですし、ラボの研究レベルが高くても、教授が学生教育を重視しない場合があります。研究レベルが高ければそのラボには勝手にポスドクが集まってきますから、概してそういう教授はあんまり学生(ごとき)に興味がないんです。なので、教授が最低限、学生の学位取得に協力してくれるかどうかは確認しておくべきです。

教授の人間性については、博士課程に進学しない場合でも重要なので、いくつか関連記事を書いています。よかったらご覧ください。

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上に書いたように、トップレベルのラボだったら学位取得&最低限の教授の良識、を確認できればOKだと思います。

もし、少しラボランクが落ちる場合は、3年での学位取得に加え、「修士課程の間に論文を書かせてくれる」研究室であることが好ましいです。バイオ系の研究室で、修士課程の学生が自分の独力で論文を書けることはほとんどありません。大部分は教授の力ですが、そこで協力を得られるかどうかが後あと重要になってくるのです。

修士の学生に論文を書かせてあげる教授の動機としては、教育的配慮・指導実績の見栄・学振を取らせることによる研究費獲得などがありますが、学生側としては、修士課程の間に筆頭論文が一報でもあれば、論文数が少なくなりがちなバイオ系若手研究者のキャリア初期にかなり有利に働く点でラッキーです。生物系なら高確率で学振(博士課程時に給料も出る)に採用されますし、これは博士号取得後に研究費・ポストを得るときもプラスに働きます。若いうちに研究費(自分の給料を含む)を得やすいので、トップレベルでない研究室で学位を取得した後でも、業績と研究費を引っ提げてトップラボにポスドクとして(助教はムリ)就職することが可能な場合があります。これならトップラボで学生をやって捨てられるよりもずっと良いです。


力のある教授に(いい意味で)目をつけられることが重要

さて、おそらく会社なんかと同じイメージでいいと思いますが、社長(教授)の下に部下(学生・ポスドク・助教・・)がたくさんいて、教授としては、優秀な人に自分の後を継いでほしいと思うわけです。研究テーマを将来に発展させていける人材や、あるいは、研究業界における自身の影響力を広げてくれる人材に投資をしたくなる動機が教授にはあります。

どんな組織とも同じで、上の人(教授)に気に入られなくてはなりませんが、一般的に(漠然とした言い方ですが)「こいつは優秀だ」と思われないといけません。優秀だと思われるためにはちゃんと研究を進めるだけでなく、教授のご機嫌をとることが必要になります。ご機嫌を取る(よく言えばコミュニケーションを取る)ことで自分に良い研究テーマが回ってきて、研究が上手くいってさらに印象が良くなる、という好循環が生まれます。研究者としてもレベルアップできるはずです。

この好循環ができると、ポスドク(や助教)になる頃には研究業績も貯まり、大学外部に名前が知られていきます。学会や~班会議のような集まりで、金魚の糞みたく教授にお供していれば、顔も外部に知られていきコネクションが広がります。それが将来のポスト獲得につながるのです。

権力者に可愛がられている人は公募(見かけ上の公募)でも有利ですから、大学院生のうちから気を付けていた方がいいと思います。外部(学会など)では積極的に発表・質問・ディスカッションに参加しましょう。「コネも実力のうち」だったと思います(それしかない人も多いですが)。特に若いうちの就職では、「素晴らしい研究業績」よりは「最低限の研究力+コミュ力」の方が大事な条件なので注意してください。

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