医学部に入る運、偶然、巡り合わせ等々
人生は運とか巡り合わせ次第だと思いますが、医学部入学についても「本人にとってどうにもならない要素(運・偶然)によって決まる部分が大きい」と感じるので、ブログで話題にしたいと思いました。
「医学部入試は公平か?」なんてのは話題になりやすいと思いますが、「公平なんて初めからないでしょ」というのが私の考えです。興味あれば読んでいただけたらと思います。
生まれ・出身により選択肢が増えたり減ったり
初めに、「生まれや出身地」と医学部入学の関係について書きたいと思います。出身地と「医学部への入学難易度」に関しては以下の2つが言えると思います。
①地方では地域枠入学がとても多い(=田舎出身者は有利)
②都市と田舎で教育レベルが全く異なる(=都市出身者は有利)
「地域枠」については、ほとんどの医学部で設定されていますが人気がない場合が多く、入試難易度が低いので、該当地域の出身者は医師になるための選択肢が増えます。 国公立大学のうち、合格者の地域枠割合が50%を超える大学が4校、20%以上の大学なら22校もあって、意外と地域枠って多いです(参考1,2)。
私は一般枠で医学部に編入学したのですが、僻地大学の一つである鳥取大医学部では編入募集のすべてが地域枠であり、入試の倍率が他大学よりも桁1つ小さくなっています(参考3)。地域枠では卒後の勤務地に制限が出てしまうので、嫌がる受験生も多いようですが、「どうしても医師になりたい。勤務地は問わない」という人にとっては、出身地による不公平感が大きいと思います。
ただし、都市出身の受験生がいつも不利益を被っているかと言うと、必ずしもそうとは言い切れないと思います。私は医学部入学後に「医学部受験生のための予備校」でアルバイトをやっていますが、なんだかすごく分かり易くてハイレベルな講義が実施されていて羨ましいです。そんなものは私が高校生の時住んでいた土地になかったし、もしあったらずっと楽に大学受験できていたと思います(私の1つめ大学は旧帝理学部だったからそれなりに頑張った)。
・独学で合格する受験生の努力>>予備校利用で合格する受験生の努力
と感じます。
再受験で医学部に入った人からは「田舎の高校出身だから、受験勉強を頑張る(医学部に入る)アイデアが元々なかった」という話も聞きます。地方に進学校がないわけではありませんが、それでも進路の選択肢は住む場所によって強く影響されます。医学部に入ることについても、生まれや出身による部分が意外と大きいもんだなーと、入学以来感じることが多いです。
参考:
1.内科医上昌弘先生のFacebookページ(地域枠関連のグラフが大変分かりやすい)
2.医学部・歯学部合格請負人のブログ
3.河合塾講師による医学部編入の解説(鳥取大の地域枠に言及)
お金があれば選択肢2倍(親の経済力は重要)
医学部の学費に関しては、河合塾医進塾のサイトの医学部の学費一覧表に整理されており、これをグラフ化してみました。国立大学は大学によらず共通の学費なので、右隅にまとめて表示しています。
グラフの一番右が国立大学の学費(約350万円)です。このグラフを見るといかに国立大学の学費が安いか(私立医大の学費が高いか)一目瞭然だと思います。一般家庭では、金銭的事情により、私立の医学部への進学は初めから候補から外れることが多いのではないでしょうか。
私の場合も、国立大の学費程度は貯金がある状態で入学しましたが、私立医大の金額は安いところでも無理です。初めから候補にないので、妬みとか、ネガティブな感情さえも生まれません(念のため)。
入試の難易度については、一般入試であれば私立医大もそれなりに難しい場合が多いですが、推薦枠では苦労せず入学できる例もあるようです。大変興味深い動画を見たので貼っておきます。よければご覧を↓
何かの拍子で医学部に入る人も多い
前述した、「出身地」や「親の経済力」と比べると、「自分でたぐり寄せる運・偶然」という側面がありますが、最後に「何かの拍子、巡り合わせで医学部に入る人も多い」ことに言及したいと思います。
国立大学であれば、社会人を経て医学部に入る受験生が1割くらいはおり、私自身もそれに該当しますが、そういう人達では大人になってから何かのきっかけで医学部受験を決意した人が多いと思います。
例えば、
・身近に、社会人から医学部に入学した知り合いがいた。
・いつからでも人生やり直せることを(何かのきっかけで)知った。
・身近な人の不幸(特に生死にかかわる病・事故・自殺など)を経験した。
などなど。
医学部の門戸は、経済力のある親の子供に対して一番広く開いているわけですが、そうでもない受験生(大人を含む)に対しても、それなりに広く開いていると思います。
国立医学部なら学費ローン(奨学金)とバイトで何とかなる金額ですし、私立医大の学費や地域枠のおかげで選択肢が狭くなっているのは事実ですが、世の中の他の不条理に比べたら随分マシな方な感じです。(比較的、「頑張れば未来が開ける」感じ。)
以上、医学部に入る際の「運・偶然の要素」について書いてみました。「人生に占める運・偶然の割合は大きい」ということを敢えて書いただけのような内容になりましたね。
①【大人の医学部受験】元医学部教員の医学生が「学士編入」をゼロから詳しく解説
→ 医学部編入に必要な情報を網羅しています。
②医学生向け研究の始め方・取り組み方ガイド(医学生・学士編入志望者に有用)
③私が大学教員を辞めて医学生になった経緯(研究関係者・学士編入志望者に有用)
おしまい。