研究室でうまくやるための考え方(学生向け)

研究室に入って初めの頃は、研究の右も左もわからないので、誰かに指導してもらえなければ何もできません。なので研究室の人間関係に溶け込む(メンバーとうまくやる)ことがとても重要です。

この記事では研究室でうまくいかない人・困っている人、馴染めない人向けに、考え方や注意すべき点について、基本的なことから書いていきたいと思います。研究室配属されたばかりの学生や、自主的に研究室に通う学部学生を対象とする内容です。



まず初めに、仲間だと思ってもらう

先輩や教員にとって、研究初心者の相手をすることによる利益はほとんどありません。後輩への指導は院生にとって「教える訓練」になったり、若い助教にとっては「教育実績欄に書けるネタが増える」という多少のメリットはありますが、コスパ的にはとても悪く、指導に時間を割く動機はゼロに近いです。

利益がないのに教えてもらうには、言い方は色々あると思いますが「仲間だと思ってもらう」ことが大切です。よく言われる、挨拶する、なんていうのは至極当然として、研究室では「研究へのやる気・熱意」を示すことも大事です。大学院生や教員は毎日の大部分の時間を研究に割いているので、彼らが研究を行う動機(例:〇〇を解明したい)を共有していることが一番好ましいです。それを行動で示さないといけません。週2, 3日研究室に行く程度では、毎日朝から晩まで研究をやっている教員や大学院生からは「やる気のある学生」には見えません。口先だけになっている学部学生(医学生)が非常に多いので注意しましょう。


研究に貢献するつもりで取り組む

未熟な学生に自分の時間を割く動機として「仲間意識をもってもらう」ことは大切ですが、ボランティア精神だけでは長続きしません。投入するコスト(時間・費用)がやはり大きいからです。研究室の場合、ラボメンバーの一員として研究室への貢献を求められます。

若い新入り学生ではこのあたりの理屈を分かっていない人も多いです。例えば先輩や教員が、未熟な新入り学生に実験を教える理由は、

①教育的責任感
②ボランティア精神(仲間意識)
③実験できるようになったら自分の代わりにやってもらうため。
④研究者として成長し研究室の戦力になってもらうため。

などがありますが、自発的に研究室に通うような学生に対しては①よりも②が大きくなります。③は数か月以上かかりますし、④は年スパンの話ですが、研究室の常識的な感覚としては、③くらいには到達してもらわないと、継続的に指導する意味がありません。指導される側の学生は(それが実験手技であれば)、教えてもらうのにかかった時間を、後で先輩・教員の実験手伝いなどによりお返しするつもりでないといけません。教員は口に出しては言わないかもしれませんが、期待されているのはそういうことです。くれぐれも(若い学生に多いですが)「自分は学生。教えてもらって当然」という風に考えてはいけません。組織の中では、互いにウィンウィンの関係を目指さないといけないのです。

とりあえず低姿勢でいた方がいいです。学部学生で、授業で手取り足取り教えてもらっているのに慣れていると、研究室で放置されてる!と考えがちですが、それが普通なので間違えないようにしてください。


この記事では、研究室に新しく入った学生向けに振舞い方のヒントを書きましたが、どんなに頑張ってもうまくいかない研究室も存在するので、そういう場合は研究室変更を検討しましょう。