医学部1, 2年目のおすすめ教科書

このページでは、医学部医学科の1年生や2年生のうちの科目(解基剖学、生理学、組織学、分子生物学などの基礎医学)の教科書で、私が使ってみて良かったと思う教科書を紹介していきたいと思います。



はじめに、この一冊お手元に。

医学科では必修科目が多く、各々の学習量も多いです。教員たちは自分の担当科目について分厚い教科書を推薦することが多いと思いますが、それを信じて科目ごとに辞書みたいな成書を買っていては、時間もお金も足らなくなると思います。購入する教科書は厳選したほうがいいです。

そこで一番お勧めしたい教科書は、

カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版【電子書籍つき】

です。

少々高いですが内容は値段以上、医学部低学年で買う厚い本はこれだけでも大丈夫だと思います。内容は網羅的で解剖学だけでなく生理学や組織学もカバーしています。項目ごとの区分が分かりやすく、レイアウトも明解、イラストや説明自体の分かりやすさもトップクラスです。

人体の正常構造と機能」の内容を理解して暗記していれば、CBTの基礎医学範囲の対策として必要十分と言われたりもします。ただし、この本だけでは学校の試験レベルに少し届かないことが多いです。なので、買える人は各科目ごとに、以下に挙げたような薄めの教科書を手に入れた方がいいと思います。


解剖学の教科書

解剖学は主に上述した、「人体の正常構造と機能」で対応できると思いますが、脳・神経解剖に限っては、詳しいもの、

脳神経解剖学の教科書:
マーティン カラー神経解剖学―テキストとアトラス

があると、神経解剖学の範囲まで十分になると思います。他には、好みにも依ると思いますが、例えば「病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経」は基礎から臨床への繋がりが分かりやすく、低学年のうちに購入しても役立つと思います。よく解剖学の指定教科書に挙げられる、「標準解剖学 (Standard Textbook) 」は内容、特にイラストが少ないため、私はあまり推薦できません。

解剖学お勧めテキスト:
, 

✓「系統解剖の実習」で使う教科書やアトラスについては、以下の記事もよかったら読んでみてください。
人体解剖実習の教科書, アトラス, 手引き…購入するべき?



生理学の教科書

生理学の教科書の定番としては、

標準生理学 第9版 (Standard Textbook)
ガイトン生理学 原著第13版
ギャノング生理学 原書25版

が有名で、「これら3つから自分に合うものを購入せよ」という風潮もあると思います。しかし初学者には詳しすぎてほとんど読み切れない(辞書として利用する機会もあまりない)ので、現実的な選択肢としては、やや薄めの、

コスタンゾ明解生理学

がお勧めです。

コスタンゾ」は、内容の詳しさは標準シリーズほどじゃないのですが、講義で言及されるレベルの重要事項は丁寧に解説されているので、難しい本を買って内容理解に苦労するよりもずっと良いと思います。医学部の成績上位層の学生で「授業が簡単すぎる」というレベルの人はコスタンゾよりも厚い本(標準生理学ガイトン、もしくはギャノング)を買うとよいのだと思います。

生理学お勧めテキスト:


組織学の教科書

組織学の定番教科書としては、

Ross組織学
ジュンケイラ組織学 第5版(原書14版)
標準組織学 総論 第5版各論 第5版

などが挙げられると思います。

コストパフォーマンスを考えると、組織の図・写真が多いものを選ぶのがいいです(標準組織学 総論各論は写真少なくて不可)。もし解剖学や生理学が未履修であれば、厚めの教科書を買ってもよいと思いますが、それなら上述の「人体の正常構造と機能」のほうがカバー範囲が広くてコスパ良です。組織学だけに絞った教科書を購入するなら、お勧め教科書は、

diFiore人体組織図譜 原著第11版

です。

図譜なのでイラストが豊富で、組織学実習の際にとても役立ちました。配慮が行き届いていて(例えば、図から線を引いて細胞名が記載されているため、他のよくある教科書の組織図のように対応する記号を探す手間が省ける)、理解しやすい本です。

組織学お勧めテキスト:


分子医科学・分子生物学の教科書

医学部では解剖学など「医学部らしい」科目と比べて不人気かもしれませんが、私は定番の教科書、

Essential細胞生物学(原書第4版)

が良いと思っています。高校の化学を履修していたら理解できる内容なので、厚さにびびる必要なしです。私は生物選択ではなかったけれど、大学二年目に購入してスラスラ読めました。

薄い本しか読めないという人には、「図解入門よくわかる分子生物学の基本としくみ[第2版]」が分かりやすくお勧め。分子レベルの細胞理解は、後で薬理学や免疫学、組織学などともつながってくるので、ちゃんと勉強しておいたほうがいいです。

分子生物学お勧めテキスト:


✓ 購入は「アマゾンPrime Students」がお勧めです。アマゾンのクレジットカード(Amazon Mastercard)と合わせて使えば12~18%くらい節約(キャンペーン時のまとめ買いなど)になるので高価な本を買うときは特にお勧め。