人体解剖実習の教科書, アトラス, 手引き…購入するべき?

人体解剖の実習は特殊な経験であるので、始まる前にどんなものか想像がつかず心配なことも多いと思います。

この記事では、特に解剖実習を始める前の1,2年生向けに参考になりそうなことを書きたいと思います。迷っている人向けの記事です。



解剖実習で必要なもの。教科書など7選

一般に、解剖実習のために購入が検討される書籍は次の3つだと思います。

(1) 実習の手引き(例:解剖実習の手びき
(2) 教科書(例:グレイ解剖学アトラス 原著第2版 電子書籍(日本語版)付
(3) アトラス(例:グレイ解剖学 原著第3版 電子書籍(日本語版・英語版)付 

他に、1000円~2000円台の薄い単語帳のような本も、コスパ的には買ってもOKかもしれません。

(4) 単語帳・簡易アトラス
例:
肉単(語源から覚える解剖学英単語集)
ぜんぶわかる骨の名前としくみ事典

ただし、この種の薄い本の必要度は大学によって大きく異なると思うので、様子を見てから買いましょう。例えば毎週、骨・筋肉の記憶テストを実施するような大学だったら必要性が高くなりそうです。薄くて持ち歩けるので、「コスパ的に」躊躇わずに買える、という感じです。

一方、値段ついては大体

(1) 実習の手引き(例:解剖実習の手びき)約:8000円
(2) 教科書(例:グレイ解剖学アトラス 原著第2版 電子書籍(日本語版)付)約11000円
(3) アトラス(例:グレイ解剖学 原著第3版 電子書籍(日本語版・英語版)付 約:13000円

というふうにやたら高価で、しかも実習室で(薬品や体液で)汚す可能性が高いので、すべて自費で揃えるとなると金銭的に躊躇います。

私は貧乏学生なので、お勧めは、(1)の手引き書のみ大学指定のものを買っておく、です。さらに、実習室に持ち込むのは全部コピーにすればよいと思います。そしたら解剖中は薬品まみれの手袋のまま持てるし、(きれいなままの)書籍本体は実習後に古本として売れるからです。需要は毎年の医学生にあるので、それなりの価格で売れます。

(2)の教科書については、解剖実習用に新しく買って通読するのは、本の厚さにもよりますが時間的に難しいと思います。(1)の手引き書がひどく読みにくいので予習に時間がかかるし、意識高い人は、教科書読むよりも放課後居残りして解剖の実習に励むからです。私もどちらかというとそうでした。

私の感覚では、教科書としては、解剖学+生理学+組織学+発生学+…を全部含めた教科書「カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版【電子書籍つき】」が予復習にちょうどよいと思っています。教授推薦の通りに厚い教科書を「解剖学」「生理学」「組織学」…と個別に買っていたら、どう考えてもキャパオーバーになりますし、私の場合はお金も足りません。

解剖学の教科書のうち、図書館で見つけた「臨床のための解剖学 第2版」はとても良い本に見え購入したいと思ったのですが、どうしても「病気がみえるシリーズ」くらいにしておかないと、平均的学生は勉強時間を確保できないと思います。少なくとも私はそのレベルです。余裕のある成績トップ層の学生か、もしくはお金の余っている学生なら厚い本を買っても後悔しないだろうと思います。

(3)のアトラスについては、実習中の参照資料として必須だとは思います。しかし自費購入は割と微妙です。(1)の解剖実習の手びきが、読みにくい日本語と雑なイラストで、わかりにくい書籍の典型みたいにな代物なので、学習方法としては「非効率な予習をして実習に臨み、アトラスを参照しながら解剖していく」というパターンになりがちかもしれません。とすると、解剖中にページをめくる必要があるので、液体や組織片が本に付きます。

1万円の書籍を4か月後に躊躇なく処分できるなら買ってもよいですが、大抵はアトラスは班で共同購入もしくは実習室備え付けを利用可能することになると思います。あくまで個人の考えですが、自宅学習用に買うメリットは私にはわかりませんし、非効率だと想像しています。解剖の実物のない、自宅でざっくり把握する目的であれば、アプリでも十分です。興味あればVisible bodyとかHuman anatomy atlasとかを検索してみてください。

その他に、解剖セット(メスなど)も共同購入・先輩からの引継ぎシステムがあれば節約できてよいです。白衣は汚れますが自宅の洗濯機で洗う気にはなれません。あまりに汚れるからです。


買っていいもののまとめ(1~7)

(1) 実習手引き→指定本を手に入れるしかない。大抵は「解剖実習の手びき」。
(2) 教科書→基礎医学が全部含まれた「カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版【電子書籍つき】」を個人的にはお勧め(解剖学のみの厚い本は大変すぎだと思う)
(3) アトラス→自費購入は微妙。「プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版」は良質でしたが。
(4) 単語帳→大学の要求度に応じて。私には「ぜんぶわかる骨の名前としくみ事典」はちょうど良かった。
(5) 解剖アプリ→大学が契約してて無料で使えたらラッキー。自費購入は予算と相談…。
(6) 白衣→汚れるので解剖実習後処分だと思う。
(7) 解剖セット→先輩からの引継ぎがあればラッキー。なければやむを得ず自費購入…。