バイオ博士のキャリア失敗例(愚痴)

このページでは私の隣に座っている無能特任助教(女・約35歳)に対する愚痴を書きます。世の中には「研究者として成功した例」の情報ばかり出回る傾向があるので、彼女のような「ダメな例」を書き記すことも、研究者を目指す若い人たちの役に立つのではと思いました。(いずれにしても私の愚痴なので予めご了承ください。)

なお、「キャリアの失敗例」なんて言ってそれを書き記す時点で執筆者(私)の研究能力もたかが知れている、と予想するのもある程度は正しいかもしれません(そういう視点も大事です)。気になる方は自己紹介ページなどをご覧ください。また、理屈上は、失敗・成功の判断は本来他人によってなされるものでないです。


質の悪い量産博士がたくさんいる(反面教師にはなるが、学生にとって良くない)

私の勤務先研究室で昨年採用された特任助教(1年契約なのでポスドクとほぼ同義)はもう1年近く、スクリーニングの実験系確立に時間と予算を費やしていますが、未だ完成させていません。実験系確立、つまり研究の準備段階で手こずっているので、もちろん論文ネタはゼロです。他のプロジェクトも持っていません。研究が進まない原因は、彼女のサボリ(実験時間が短い)や実験の組み方に間違いが多すぎること(コントロールを置かないなど)なのですが、何にしても現状これでは給料泥棒です。ポスドク以上は「プロの」研究者であり、成果を出さなくてはなりません。学生からポスドクになるとき、よく言われることなので覚えておきましょう。

彼女のようにお情けで雇用を続けてもらっている人が、私が所属する地方大学にはたくさんいます。彼らの給料の元の多くが間接的に税金であることを考えると、税金泥棒と言われても仕方ありません。全部の地方大学とは言えないと思いますが、私の勤務先大学(入試偏差値60~70だからそれなりに良いはず)では、たとえ肩書が助教でも、旧帝大の修士課程レベルの人がぞろぞろいます。全然ダメです。

ここまでのメッセージ:
地方大学では、ポスドク・助教の研究者レベルがとても低い場合がある。研究者を目指すなら、若いうちは、旧帝大クラスにいたほうが断然よいと思います。(愚痴:ここにいると私も頭が鈍くなりそうです。これも私が脱出を決心した理由の一つです)

なので、普通と逆のことを私は主張します
量産バイオ博士の質が悪すぎる。彼らの人件費は間接的に税金の無駄である。ポスドクの就職難は自己責任。自分のキャリアに責任を持とう。不平を言う前に努力しよう。

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高級(高給)テクニシャンの給料の不満は大抵的外れ

私の同僚の特任助教もそうですが、研究がうまくいっていない人は、その責任を上司である教授に転嫁する傾向があります。一応、博士課程を出ているということは「プロの」研究者であるはずなのですが、その能力がないことは本人も自覚してるみたい。だから、研究が進まないのは教授の指示が悪いと考えるらしいです。こんな人が結構いますが、彼女らは一般に「高級テクニシャン」と呼ばれます。一般的には、手は動かせるけど、研究者としては能力が足りない、という扱いです。実験手技だけは評価した呼び名なので、「ピペド」よりも実態に即している感じがします。

大学院重点化政策の結果、大学には、肩書は博士だけど全くそれに値しない人がかなり混じっています。研究能力の個人差は30代頃にはかなり明確になりますから、周囲からの認識がテクニシャン(実験スタッフ・テクニカルスタッフ)であることを当人も自覚している場合がほとんどです。やや軽蔑が加わり、単に「テク」と呼ばれたりします。私の主観ですが、旧帝ポスドクの1-2割、地方大だと半分程度(とても大学に依ると思いますが)のポスドク・助教はテクレベルな感じがします。

30後半から40過ぎてもこの状態から脱せない人は、それを受け入れているのなら別によいですが、やはり給料が低いので不満はたまりがちだと思います。大学で研究者を目指すとなると、基本的に研究能力が役職に直結するため、研究業績が年相応になければポジションが上がりません。当然給料も上がりません。具体的には退職まで年収300~400万円台ということがあり得ます。

その給料が当人にとって不満の種なのはイメージできますが、大抵の場合、彼らはそのレベル(実験スタッフ)の仕事しかしていないのですから仕方ありません。30半ばから助教になって、研究と教育の経験を積んでいる人が教授になるのに、いつまでも実験スタッフではアカデミックポストに就くのは難しいです。ほんと、自己責任なんだから私に妬みを向けないでほしいです。同僚の仕事ぶりを見ると年300万でも貰いすぎです。実験室でヒステリー起こさないでほしい。うざいです。

私が考えるに、高級テク・実験スタッフの状態でキャリアが停止しており、それについて不満な人(私の同僚)の問題は、研究能力が低いことではなく、自身の能力の客観視・自分のキャリアを自分でつくる姿勢、が不足している点だと思います。給料についての不満などはその最たるもので、いくら年収300万円でも客観的にいってそれ相応あるいはそれ以下の仕事しかできないんですからどうにもなりません。嫌なら転職しよう、転職できないなら能力不足、自分の責任です(研究環境や教授のせいではありません)。

教授は限られた研究費の一部を人件費としてポスドクや特任教員の雇用に割いています。ラボ経営者としての教授は、研究業績を挙げることで次の研究費を稼ぎ、それを次の研究につなげなくてはなりません。とすると、今の研究費の一部で採用されているポスドクが次の研究業績に貢献できそうになければ、教授にとってそのポスドクは採用メリットがありません。教授に雇われているポスドクや特任教員が、給料やラボ環境の不満を言うのは的外れすぎます。それなら自分で研究費を獲得しろよ、ってことです。博士なんだから。

・ここまでのメッセージ
テク止まりになりそうな人は、手遅れになる前にポスドク・助教を辞めて転職しよう。
博士在学中に、少なくとも研究室内のお金の動きは把握しよう。教授の利害を理解しよう。

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なので、仕事していないポスドクや特任教員には以下のように言ってやってください:

「あなたの人件費はラボの負担になっています。自分の研究が進んでいないのに、ラボの財政状況について不満を言わないでください。あんたの雇用がなければ、その分の年間数百万円が私たちの研究費になってラボに余裕が生まれます。ラボ環境や給料に不満を言うなら、さっさと転職してください。自分の人生でしょ?というか邪魔です。それが皆の利益になります。」

ただし、言う前に相手の人件費の出どころやラボの財政状況をよく確認してください。また、反感を買うと思うので気を付けてください。