米国株(医薬関連)

日本で米国株を購入する場合、ドル建てになるため為替リスクがあります。つまり米国株を買った後にもし円高になった場合は(円建て)資産が自動的に「減って」しまう点で手を出しにくいのですが、それでも日本株と比べたら、(1)高い将来性、(2)高い配当利回り、(3)1株から購入できて手軽(大体数千円)、といった魅力が米国市場の株にはあると思います。

私は米国株では、医薬品関連株とその他(IT・AI・通信)の株を大体1:1の割合で維持しています。前者の「医薬品関連株」については、このページを訪問してくださる(恐らくバイオ・医薬などの専門を持つ)理系の方に推奨したいと思います。


基本は中長期投資

まず基本的な方針として、米国株は「中長期投資」が戦略的にベターです。なぜなら証券会社の決まりで、外国株の取引では高めの手数料(最安のマネックス証券なら500円程度)が課せられることが多いからです。買ったら長期に保持して無駄に手数料を払わない方がいいと思います。また、米国株の銘柄選択では次の点を重視するといいと思います。

・配当利回りが高い銘柄を選ぶ・・・米国市場では3-5%の配当利回りのビッグファーマ株があるのでお勧め。
・長期に存続してくれそうな会社を選ぶ・・・医薬品開発は「技術勝負」な面が強いので、特許期間などを加味すれば5-10年という長期スパンで予想しやすいというメリットがあると思います。

上記の点を加味すると、長期の運用がいいという根拠がさらに増えますね。一般に医薬品は景気動向から影響を受けにくいとされるので、その点でも長期に保持しやすいと言えます。バイオや生物系の大学院の修士レベルでも、ギャンブルしたい誘惑にかられず堅実に自分の専門性に関連した株を売買していたら十分利益を得ることができると思います。

どんな銘柄がよい?

ベンチャーからビッグファーマまで選択肢はありますが、日本人が手を出しやすいのはビッグファーマ株の方だと思います。ビッグファーマの方が圧倒的に配当が高いです。変動するので全く保証できませんが大体、下記のようになります。

・Novartis: 配当利回り3.5%
・Pfizer: 配当利回り3.8%
・Merck: 配当利回り3.1%
・Bristol Myers: 配当利回り2.7%
・AstraZeneca: 配当利回り4.8%
・Glaxo Smith Kline: 配当利回り5%

日本の製薬会社だと配当利回り3%を超えるのは武田薬品工業くらい(将来性は?だけど…)なので、配当狙いの投資家は米国株を持ちたくなるのではないでしょうか??(GSKの株を5万円買ったら毎年2500円くらいもらえるということです。もちろん株価が下がって目減りするリスクもあるのですが。)

バイオベンチャーだとアメリカでも配当なしの会社が多いので、配当ではなく株価上昇によるキャピタルゲインを狙うことになりますが、上述のように日本で外国株を売買すると手数料が高くなる傾向があるので、短期でキャピタルゲインを得るための売却は若干やりにくいと思います。また、小さい規模の会社になるほど、日本で情報を得るのが難しくなります。ビッグファーマであっても情報を得るのが遅れる傾向はあるでしょうが、中長期戦略なら数日間の情報の遅れも相対的には小さいものになります。


おすすめ米国株(医薬品)

株取引はリスクがあるので自己責任でお願いしますが、上述の6社に分散したらいい感じがします(私はファイザーが嫌いなのでそれ以外ですが。)。Rocheを入れたいところなのですが(スイスの会社で)米国の取引所には上場していません。
Novartis
2016年末にシンガポールの研究所を閉じて株価が下がり、私は半端な損切をしてしまいましたが、とすると今が買い時かもしれません。日本では臨床試験におけるコンプライアンスの問題でネガティブな印象が強いかもしれませんが、会社としてはかなり革新的な企業だと思います。教科書にも出ている、がんの分子標的薬グリベック(イマチニブ)を創出した企業です。科学技術をベースに世界を変えようとする企業としてみるなら、私は応援したいです。

Bristol-Myers と Merck&Co
ブリストルマイヤーズとメルク(米国企業)をまとめてしまいますが、両者はPD1/PDL1経路を標的とする免疫チェックポイント阻害薬開発の分野で激しく競争している、というのが最近の状況です。同時期に行った臨床試験でメルク社のキイトルーダが有用性を示したのに対して、ブリストルのオプジーボは有効性を示せず、2016年8月には株価が75USDから60USDまで急落しました。落ち着くのを待って11月に私は10株購入。オプジーボの失敗は臨床試験のデザインの問題であって薬の本質に問題があるわけではないと私は考えています。もしそうであれば、また何かのきっかけでブリストルマイヤーズの株価も上がると思います。メルクも300ドル分くらい買っているのですがリスクヘッジのつもりです。。両社がともに負ける(=免疫チェックポイント阻害剤が臨床で使えなくなる)というのはあり得ないように思ったからです。

Astrazeneca と GlaxoSmithKline
配当利回りが5%程度もあり、気になります。確かに目立った開発品が両社にはないですが、どちらも社の技術基盤を持っているから株価が暴落してもそれが永続することはないと思うのです。アストラゼネカもグラクソスミスクラインも科学のイノベーションによって世界を変える文化があると私は期待しています。特にグラクソスミスクライン社については、社内から過去に(合併前を含みますが)数人のノーベル賞受賞者を出していることで知られます。高い配当利回りを期待しつつ、多少の損は受け入れられるので私は両社に投資しています。