生理学の対策1

生理学のカテゴリーでは「ホルモン」や「栄養の吸収」の重要度が高いですが、医学部の学士編入試験では常識として求めれれる知識も多いです。初心者は簡単なテキストを購入するのがいいと思います。このページは問題解説と解答例形式にはしていません。求められる知識のレベルを把握してもらうために、(削除せず)残しています。


イラストでまなぶ生理学(第3版)は参考にしています。かなり初心者向けの分かりやすい本です。


生理学の基本

体液
・細胞外液は、間質液と血液(血漿)に分けられる。
浸透圧とは「半透膜を通じて溶媒が移動し、2つの液体の濃度を均一にしていくための圧力のことである」。半透膜は「一定の大きさ以下の分子またはイオンのみを透過させる膜」であり、細胞膜や血管の内皮細胞は、半透膜と解釈できる。
*浸透圧の単位として、mOsm(ミリオスモル)/kgH2Oは良く用いられる(mEq/lも良く用いられる。

等張液:
・血液の浸透圧は300mOsm/kgH2O。浸透圧が300mOsm/kgH2Oの溶液を「等張液」と言う。例えば、0.9%NaCl溶液、5%ブドウ糖溶液が等張液である。
・血液のpHは7.4。尿はpH6, 胃液はpH2

膠質浸透圧
・主に血清アルブミンにより生み出される浸透圧が血液の膠質浸透圧である。
*体液の主因はナトリウムである(タンパク質によるものを「膠質浸透圧」と呼ぶ)。
・血清アルブミンは、肝臓で作られ、腎臓機能の低下では尿に漏れる(=>血液量が減るので、浮腫の一因である)。
*浸透圧が高い=粒子数が高い、と覚える。水は浸透圧が「高い方」に移動する。

血液
・血球のほとんどは赤血球。これが血液の45%を占める
*血球が血液中で占める容積をHt(ヘマトクリット)と呼ぶ(通常45%程度)。
・末梢血液での赤血球数は、男性で500万個/ul、女性で450万個/ul。径は7.5um。
・造血は長管骨(細長い骨)よりも扁平骨で盛ん。胎児では脾臓や肝臓でも造血されている。
・赤血球の作られ方は、赤芽球から脱核が起こることに依る。
*従って赤血球は分裂できない。ミトコンドリアを持たず、解糖系で120日生きる。

・貧血は酸素運搬能の低下を意味し、Hb,赤血球,Htなどの低下を伴う。
・鉄欠乏、ビタミンB12,葉酸の不足。

白血球は成人で4000-8000個/ulある。
・5種類あり、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球である。
・好中球・好酸球・好塩基球は顆粒を持つ。成熟に従い多核白血球と呼ばれる(核がくびれるため)。

・血漿タンパク質としては、アルブミンの他、α, β, γのグロブリンがある。

止血(Hemostasis)
・血小板の基準値は、15-35万個/ul
・血小板がやや弱いふたをしたのち、赤血球の丈夫な塊が傷口をふさぐ。
・凝固とは、「フィブリノジェンが不溶性のフィブリンになる」こと、である。
・フィブリノゲンは数分でフィブリンになる。それが糸状になって色々と絡まった塊が血餅(けっぺい)である。数時間後には血餅が収縮して「血清」が染み出てくる。(血清=血漿-フィブリノゲン)
・血餅は再び液体になる。これを線溶という。
・凝固過程にはCaが必要。凝固因子の多くは肝臓で作られる。

血液型
・重要なのはABO式とRh式。これらはメンデルの法則に従う。
*ABO式では、自分の持っていない抗原に対する抗体を初めから持っており、標的の赤血球を破壊する。
・輸血時には交差適合試験が行われる。
*レシピエントの抗体(血清または血漿)がドナーの血球を攻撃するのがオモテ試験(ウラ試験ではドナーの抗体がレシピエント血球を攻撃しないか調べる)
・Rh抗原は日本人の99.5%が陽性(Rh抗原には種類があるが抗体の作用が強いのはD抗原のみ)。
*Rh陰性の人にRh+の赤血球が入ると感作される(抗体ができる)。二度目の輸血や妊娠で流産のリスクがある。
抗Rh抗体は胎盤を通過するが、ABO式の抗体は通過しないらしい
・HLAは全ての組織に存在する「ヒト白血球型抗原」・・・MHC=主要組織適合抗原
<赤血球はMHCを持たない>


循環器系(血管とリンパ)

・心臓は1回の拍動で70mlの血液を送る。
血液の総量は5lで、約1分で全身をめぐる
*「5l」という数字を覚えるのが早い。

大静脈(上大静脈と下大静脈)
>右心房 (三尖弁) >右心室 (肺動脈弁) >肺動脈>肺静脈
>左心房 (僧帽弁) >左心室 (大動脈弁) >大動脈

・心音とは、弁が閉じるときの音である。
洞房結節(洞結節)が拍動のリズムをとる。
*正常時は洞房結節であるが、房室結節も存在する。
(洞房結節>房室結節ヒス束プルキンエ線維・・・これらの刺激伝導系は神経ではなくて特殊な心筋であることに注意)

・不整脈には代表的なものが2つある。
期外収縮・・・規則正しいリズムの中に不規則なものが混じる。
心房細動・・・リズムがばらばら。心房が細かく震えるのみ。
(心室細動は危険。AED,自動体外式除細動器を利用できる)

・血中のカリウムの上昇は不整脈をきたす。
*心室筋の興奮に依る心室細胞の危険が高まる。

・血圧は最低60mmHgが必要。血管容量、血液量、心臓の力などで決まる。
血圧=心拍出量x血管抵抗

・心臓自体は、(左心室の血液ではなく)冠状動脈から栄養を得ている。
心臓の冠状動脈や脳の動脈では、通路が1通りしかないので梗塞が起こると危険。


栄養

・単糖(C6H12O6)では、グルコース(ブドウ糖)・フルクトース(果糖)・ガラクトース、を覚える。
・マルトース=グルコース+グルコース
スクロース=グルコース+フルクトース
ラクトース=グルコース+ガラクトース

グルコースはグリコーゲンへと合成される。植物の場合はデンプンへ。余分な糖質は肝臓でグリコーゲンとして貯えられる(半日分程度)

必須脂肪酸

・脂質のうち、必須脂肪酸はリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸である(すべて不飽和脂肪酸であり、植物や魚類に多いとされる。)
・ビタミン不足の帰結は簡単に覚えておくこと。

ホルモン

・内分泌器官から血液中に。(ホルモン濃度は全身で同じ)
・ある細胞のみがホルモンに応答する。
例:インスリンは血糖値を下げる。一方、血糖値を上げるのは、グルカゴン、アドレナリン、糖質コルチコイド、甲状腺ホルモン、など。
・ホルモン名はひとつの物質名を表しているわけではないので注意が必要。

覚えるべきホルモン
下垂体のホルモン:
・後葉と前葉がある(中葉はヒトではごく小さい)。
下垂体後葉には視床下部からニューロンが伸びており、抗利尿ホルモン(ADH)やオキシトシンが放出される。前葉から多くの上位ホルモンが分泌される。
*下垂体前葉のホルモン分泌は視床下部のホルモンからの制御を受けている。
(視床下部 → 下垂体前葉 → 各器官)
*どっちにしても視床下部が一番上流と覚える。

下垂体前葉から放出されるホルモン
成長ホルモン(肝臓のIGF-1分泌)・甲状腺刺激ホルモン・副腎皮質刺激ホルモン・卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン・プロラクチン(乳汁の分泌)

・バゼドウ病では甲状腺機能が亢進して全身の代謝が活性化する。
・甲状腺には2種類の分泌細胞がある。血中のカルシウム量を調節する。

副腎(Adrenal gland)
・皮質と髄質に分けられる(髄質からアドレナリン)。
・皮質から分泌されるステロイドホルモンには、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ホルモン、がある(糖質コルチコイドは炎症を抑えたり糖新生により血糖値を上げる。鉱質コルチコイドは尿細管でナトリウム再吸収を促進する)。
・アルドステロンは副腎皮質から分泌される鉱質コルチコイド。ナトリウム再吸収により血圧を上昇させる。
・副腎は腎臓の上側にある。

膵臓
・ランゲルハンス島のB細胞からインスリンが分泌される。
・一方、A細胞からはグルカゴンが分泌される。グルカゴンは肝臓でのグリコーゲン分解を促進す

る。
・糖尿病ではインスリンが不足しており、全身に症状が出る。

その他のホルモン(*余裕があればおぼえよう)
・エストロゲン(卵胞ホルモン)・・・二次性徴を促す。卵胞の発育や子宮粘膜の増殖。
・プロゲステロン(黄体ホルモン)・・・排卵後に増加し、排卵を抑制する。基礎体温を上げる。

・アンドロゲン・・・二次性徴の促進。前立腺がん治療の標的となる。
・ガストリン・・・胃が分泌して、胃に作用。
<食物が十二指腸に入ってから血中に分泌され、全身を巡って膵臓に作用するホルモン>
・セクレチン・・・腸が分泌して、膵臓の水分分泌促進。
・コレシストキニン・・・腸が分泌して、膵臓の酵素分泌促進や、胆嚢を収縮させて胆汁分泌。
*なお、膵臓が分泌するホルモンとしてはインスリンやグルカゴンがある。


消化と吸収

・アミラーゼはデンプンを2個ずつに切って二糖類にする。それらは腸で単糖になる。糖は腸の毛細血管に入って、門脈から肝臓へ行く。そこで先ず、代謝や解毒を受けて全身にばらまかれる。

脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されて吸収されるが、腸の細胞内で再度トリグリセリドに合成され、リンパ管に入る。(リンパ管は集まって胸管になり、最終的には静脈に至る。*脂肪は、糖やアミノ酸と異なり門脈に入らないことに注意。

・胆汁は消化酵素は含まれていない。胆汁酸・ビリルビン・コレステロール・リン脂質などを含む。
・胆汁は脂肪分を溶かすことでリパーゼを作用しやすくする。胆汁中の胆汁酸は脂質(脂溶性ビタミン含)のミセル化と吸収に役立つ。
・胆汁は、肝臓で作られ、胆嚢で濃縮と貯蔵がなされる
*胆汁の放出は「外分泌」である。

・ビリルビンは、ヘモグロビン代謝の産物である。
*ヘモグロビンのうち、ヘムの鉄以外の部分がビリルビンとして胆汁中に捨てられる。
*これに伴う変化を「抱合」と呼ぶ(抱合型のビリルビンが胆汁に移行できる)。
・肝臓は多くの仕事を行う。肝障害では肝細胞に含まれる酵素が血中に逸脱する。また、肝障害は(アルブミン産生を減らすので)血中アルブミンを低下させ、浮腫の原因になる。
・他にも、肝障害はコレステロール低下、出血傾向(凝固因子の多くは肝臓で合成される)を引き起こす。
*血中の凝固因子やアルブミンも肝臓で主に合成されることを覚えておく。