生理学の対策まとめ

過去のページと重複があります。生化学との関連がありそうなところや、ホルモン関係は問題として出やすいと思います。
個別の詳しい問題を対策していると終わりがないです。生理学は「あまり対策していない人」の割合が多いとため、重箱の隅よりも。基本をきっちりすることが大事だと思います。


☆小腸上皮細胞で、小腸刷子縁でグルコース取り込みは二次能動輸送が基本、排出される際は受動輸送、と捉えてよいみたいだ。

Fight or Flightの反応について説明せよ

・動物が恐怖などのストレスを受けたときの応答。アドレナリンやコルチゾールなどが分泌される。視床下部が刺激を感知し、交感神経を介し、副腎髄質からのアドレナリン分泌を引き起こす。コルチゾールは、視床下部からのCRHが下垂体前葉からのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)放出を促し、それが副腎皮質からのコルチゾール分泌を促進する。
・アドレナリンは肝臓でのグリコーゲン分解、コルチゾールはタンパク質分解によるアミノ酸をグルコースに変換させることで血糖値が高まる(糖質コルチコイドとしての作用=肝臓での糖新生増加)。生体の変化として、(アドレナリンは)心臓、肺、機能強化に働き、また、振戦(ふるえ)、胃など消化器官の機能低下、瞳孔の散大、周辺視野喪失、聴覚喪失などが引き起こされる。
・コルチゾールはステロイドホルモンであり、核内受容体を活性化して転写の制御に関わる。アドレナリンは、アミノ酸誘導体ホルモンであり、(チロシン由来であるので)カテコールアミンに分類される。フェニルアラニン>チロシン>ドーパ>ドーパミン>ノルアドレナリン>アドレナリン、の順に合成される。
*アドレナリンは心拍数を増大させ、血圧を上げる(血管拡張作用もあるが、量が十分だと血圧上昇に働く)。

高血糖時のインスリン分泌について、その機序と帰結を説明せよ

・グルコースの取り込み後、膵臓のβ細胞内のATP濃度が上昇し、ATP感受性のK+チャネルが閉じると細胞が脱分極する。細胞内のCa2+濃度の上昇によるエキソサイトーシスにより、β細胞からインスリンが分泌される。(顆粒内でプロインスリンがインスリンとCペプチドに分解された後、分泌される。
*このときの脱分極は神経細胞とは異なるようで、「活動電位」のような表現を使わないように注意。
*膵β細胞での高血糖の感知のほかに、視床下部でも高血糖は感知される。

・インスリンレセプターはチロシンキナーゼであり、IRS-1(Insulin receptor substrate 1)をリン酸化し、PI3K, PKBへとシグナルを伝える。GLUT-4の細胞膜への移行が亢進され、骨格筋と脂肪組織でのグルコースの取り込みが促進される

・またインスリンは肝臓においてグリコーゲン合成の促進、グリコーゲン分解と糖新生の抑制に働く。膵α細胞ではグルカゴンの産生を抑制する。(グリコーゲン合成は肝臓)
*インスリンの作用は、血糖値低下のための作用3箇所と覚えてよさそう。骨格筋・脂肪組織<=>肝臓、で作用を分けて考えるほうが分かりやすい。

血糖値の変化について
空腹時は正常で70-100mg/dl。絶食でも、食後16h以降は糖新生により50-60mg/dlに維持される。食後、インスリン分泌の後、(血糖値が食前レベルまで下がると)グルカゴン分泌が増える。

I型およびII型糖尿病について説明せよ(特にII型について)

インスリンの分泌低下あるいはインスリン感受性の低下が糖尿病の原因となる。
・I型糖尿病では膵臓β細胞が何らかの理由(自己免疫等)で破壊されインスリン分泌が足りず、高血糖になる(インスリンの外部からの供給が必要)。インスリンが不足するのでグルコースが取り込まれにくく、I型糖尿病ではやせ形になりやすい。

・II型糖尿病では肥満、食べ過ぎなどを原因として、相対的にインスリン不足で血中グルコースを下げることができない。β細胞の破壊によりさらにインスリン不足が起こり、また、脂肪細胞からのアディポネクチンの減少によりインスリン感受性が弱まる。脂肪組織のマクロファージは炎症性サイトカインであるTNF-alpha, IL-6などを分泌し、インスリン感受性低下に寄与していると考えられている。(アディポネクチンはインスリン感受性を上げ抗炎症にも働くらしい。)
高濃度のグルコースは糖化反応を引き起こし微小血管に障害を与え生体に有害である

低血糖時の応答について、

グルカゴンは肝臓でのグリコーゲン分解。アドレナリンは肝臓(、筋肉)でのグリコーゲン分解を引き起こす。また、コルチゾールは肝臓での糖新生により血糖値上昇を引き起こす。(筋肉のグルコースは筋肉で消費される。)

血糖値の低下は視床下部のニューロンで感知され、交感神経を介して副腎髄質と膵臓α細胞に作用してグルカゴンを放出させる。肝臓のグリコーゲンが分解され血中にグルコースを放出される。

Wikipediaの血糖値の項目が分かりやすい。インスリンの低下>アドレナリン・グルカゴンの放出>成長ホルモンの放出>コルチゾールの放出>50mg/dl以下では大脳のエネルギー代謝に障害が現れるらしい。普通はアドレナリン・グルカゴンあたりで対処されているらしい(65-70mg/dl)。
血糖値の調節のページはPDF1枚にまとめられており有用。

・グルカゴン:肝臓(グリコーゲン分解)
・アドレナリン:肝臓と筋肉(グリコーゲン分解、ただし筋肉のは血中に放出されない)
・コルチゾール:肝臓(糖新生)

水分維持について説明せよ

バソプレシン、アルドステロンなどが体液維持に重要。
パソプレシンは抗利尿ホルモン(ADH)とも言われ、視床下部で合成されて下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモンである。血漿の浸透圧上昇の感知と血管圧受容器を介した刺激により分泌され、腎臓(遠位尿細管・集合管)に作用して水の再吸収を促進する。水の再吸収に加え、血管を収縮させることで血圧上昇に働く。
バソプレシンは腎臓のV2受容体に結合し、Gs>アデニル酸シクラーゼ>cAMP/PKA、の活性化により、アクアポリン2が細胞膜に移行することで集合管からの水の移行性が高まることで作用する。
アルドステロンは、腎臓でのナトリウム再吸収により、体液維持に貢献する。低血圧や腎臓での循環血液量の低下が検知されると、腎臓からレニンが分泌される。レニンはプロテアーゼであり、アンジオテンシノゲンを分解してアンジオテンシンIがつくられる。肺毛細血管内でアンジオテンシンIIに変換され、これが副腎皮質からのアルドステロンの分泌を促進する。アルドステロンはコレステロールより合成される。
*アンジオテンシンIIは脳下垂体に作用し、バソプレシンの分泌促進の作用も持つ。
・アルドステロンは、尿細管に作用してNa+と水の再吸収を促進するとともにK+の吸収を抑制する。
レニンは腎臓で検知される電解質変化により分泌されるらしい。このページ(脂質と血栓の医学)はわかりやすい。
*「体内の電解質調節のメカニズムを説明せよ」のような問題に答えられる必要がありそう。対策せよ。

腎臓の役割5、肝臓の役割5、脂肪細胞の役割2を挙げよ
アセチルコリンが関与する例として、骨格筋と☆心筋での作用をそれぞれ説明せよ☆洞房結節での受容体を確実にすること

骨格筋でのアセチルコリン
(体性神経の)シナプス前終末から放出されたアセチルコリンが、筋細胞膜のアセチルコリン受容体(ニコチン受容体, イオンチャネル型である)に受容され、Na+の透過性が亢進して膜が脱分極する。閾値に達すると電位依存性Naチャネルが開いて活動電位が発生する。活動電位が筋小胞体に達するとCa2+が放出され、これがトロポミオシンによるアクチン、ミオシンの架橋阻害を解除する。ミオシンはATPase活性によりアクチンフィラメント上を移動し、筋収縮が引き起こされる。
*骨格筋の構造を覚えること。サルコメアとか。

☆心筋でのアセチルコリン
副交感神経(迷走神経)の末端から放出されるアセチルコリンが、心臓の洞房結節にあるアセチルコリン受容体(ムスカリン受容体, GPCR)に受容される。(リガンドの結合により)受容体に結合するGタンパク質の活性化が起こり、細胞膜のK+チャネルが開く。K+の細胞外への流出が過分極を促進し、活動電位の発生が抑えられるため心臓の活動抑制、心拍数の低下を引き起こす。

Link: ストレスと自律神経の科学のページが非常によくまとまっており有用。

甲状腺ホルモンについて説明せよ
GPCR下流で、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼCがシグナルを伝える例をそれそれ説明せよ
血管が損傷を受けた際の反応(凝固と線溶)を説明せよ
糖質・中性脂肪・タンパク質の消化と吸収をそれぞれ説明せよ。中性脂肪については、肝臓で合成されたものの運搬について言及せよ

多糖(実質デンプン)は唾液アミラーゼと小腸では膵液アミラーゼにより、マルトースまで分解される。マルトースは小腸刷子縁膜に存在するマルターゼによりグルコースまで分解され、小腸上皮細胞へ取り込まれる。Na+流入に伴う負のΔGを利用してグルコースを取り込む二次能動輸送により細胞内に取り込まれる。

中性脂肪は膵液のリパーゼによりグリセロールと脂肪酸に分解される。胆汁により膵液リパーゼは作用しやすくなっている。小腸に吸収されると細胞内で中性脂肪に再合成され、そこでカイロミクロンを形成する。カイロミクロンはエキソサイトーシスによりリンパ管に放出され、胸管に集められた後血中に入る。血中でカイロミクロンに含まれるトリグリセリドは血管内皮細胞のLPLが作用して分解される。粒子が小さくなった、カイロミクロンレムナントは肝臓で吸収される。肝臓で合成されたトリグリセリド(中性脂肪)はリポタンパク質と結合してVLDLを形成する。VLDLもカイロミクロンと同じく、血中ではリパーゼの作用により加水分解して脂肪酸を遊離し、遊離した脂肪酸が末梢で栄養として使われる。

タンパク質は胃のペプシンで初めに分解され、ポリペプチドは十二指腸で膵液中のトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼによりさらに分解され、カルボキシペプチダーゼによりC末端から1つずつ分解されたのち、それら1-3ペプチドは小腸上皮細胞に吸収される。

心臓と血液循環について図で示せ
腎臓を図示し、ネフローゼの主要な原因2を説明せよ
シナプスの興奮と抑制について説明せよ
記憶について説明せよ