博士課程よりも医学部学士編入がおすすめ

理学部生物でいうところのミクロ生物学(細胞・分子レベルの生物学のこと)の研究者になりたいのであれば、ほとんどの場合、できるだけ早いタイミングで医学部学士編入する方が合理的だと思います。デメリットがほとんどありません。将来的な研究の発展性というのもありますが、個人レベルで考えると経済的な問題も大きな理由になります。

このページでは、学生が生命科学関係の研究者を目指す際の2つの選択肢:
(1)非医学部の大学院(修士課程・博士課程)に進学する
(2)医学部医学科に学士編入学し、医師になる
を、特に経済的な面に着目して比較します。


ポスドクからの進路変更も、必ずしも遅くないです。
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経験年数ごとの収入比較

非医学部を卒業して博士号を取得するには、最短でも修士+博士の5年間がかかります。学位を取ったら多くの人がポスドクになりますが、ポスドクの平均的な年収は300-400万円です。研究者を目指す場合、数年間をポスドクとして研究を続けながら教員ポストを狙うというのが一般的です。上手くいけば数年後に教員になれますが、失敗すれば高齢ポスドクとなり最終的に無職になる危険もあります。

一方、医学部に編入すれば(3年次編入なら)最短4年で医師免許を取得できます。医師免許取得後は2年間の研修期間がありますが、この間は300-500万円程度の給料をもらえます。その後は、民間病院で働けば年収500-1000万円です。また、研修医を終えた後に博士課程(普通、医学研究科)に進学する場合も、時給1万円程度で診療アルバイトが可能なので、お金に困ることはありません。

医学部に編入すると、学生の間は、一時的に収入が減るので大変かもしれませんが、上述のようにポスドクの給料だってかなり安いです。いつクビになるかわからずに低い給料で働くポスドクよりは、一時的な無給でも将来を保証された医学部生の方が精神的に楽だと私は思います。食えない資格(博士)よりも食える資格(医師免許)を先に取得する方がそれ以後有利です。

まとめ:編入は研究者にとってメリット

ざっくり書きますと、

選択肢1:博士課程進学のばあい
・3年無給 → ポスドク年収350万円 → 不安定な職を続ける(無職のリスクあり)
選択肢2:医学部学士編入のばあい
・4年無給 → 研修医年収400万円(2年間) → 以後お金に困ることはない(研究に進むかどうかも自由)

どちらがよいですか?

もちろん、お金の問題がすべてではありません。ですが、好きな研究を続けようとした結果、最終的に無職になってしまえば元も子もありません。経済的なゆとりを手に入れることで、キャリアの選択肢が増えるのです(これには「研究を続けるキャリア」がもちろん含まれます)。

学生期間が医学部編入によって長くなってしまうので、少し躊躇したくなるかもしれませんが、大学に在学している限りはどこかの研究室に所属して研究に携わることができます。なので、(学部をやり直すことで生じると予想される)研究キャリアの遅れは見かけほど大きくなりません。研究者を目指す人にとっても満足できる学生生活を送れると考えられます。

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