大学教員のキャリアのデメリット色々

大学教員辞めて医学生になったブログ主が執筆します。

半分愚痴ですが、一般事項からあまり言及されないことまで書きますので、よかったら読んでみてください。研究者を目指す若い人にお勧めです。



競争がとても激しい

大学教員の仕事は基本的に研究と学生教育ですが、キャリアで成功するために重要なのは研究のほうです。教授になるのに必要なのは、研究での顕著な業績を持っていること。研究という行為はいわば自然の叡智への挑戦なので、単純に言えば頭がよくないといけません。どんなに若くても、研究者であれば特定分野で文字通り「世界一」その研究対象に詳しくなくてはならず、教授になるには、さらにその中でも際立った業績が必要です。そうでなければ大学内で昇進できませんし、場合によっては仕事がなくなります。

大学教員のキャリアでは、基本的に教授になるまでの雇用の不安定です。競争から脱落した研究員(非正規雇用:通称ポスドク)の悲惨な状況がよく知られてきたので、最近では大学教員を目指す人自体が減りました。これで競争の激しさは多少和らぎそうですが、しかし大学という職場自体が、少子化で大学生が減っていく日本では縮小産業なので、これからも大学教員のキャリア競争は厳しいと考えられます。


キャリアスタート時点で借金

キャリアスタートが圧倒的に遅いことも、かなり他のキャリアと比べて良くないです。研究者としてスタートラインに立てるのは、大学院の博士課程修了時です。その時、浪人や留年がなくストレートに来た人も既に27歳です。それまでは学費を納めながら大学院で研究に取り組むので、学部から数えると、標準9年間を学生として過ごし、奨学金を借りていたら借金1000万円超えもあり得ます。

30歳前後での借金はかなり精神的に堪えます。研究者を目指して大学院博士課程に進む人は一般的に高偏差値大学の人が多いですが、彼らの同級生の多くは上場企業でそれなりに昇進している年齢です。とても大雑把に言うと、学部卒後に企業ではなく大学院に進むことで1500~3000万円くらいの金銭的マイナスを受けていると思います。(上場企業20代平均年収x5年。)

この、出遅れ感は半端ないです。



分野によってはつぶしが効かない

これは研究分野によって異なるのですが、大学の研究は金儲け目的で行っているわけではないので、大学での学術的研究のスキルは民間企業では需要がない場合が多いです。その場合、大学の研究者から企業に転職するのが難しいので、これも大学教員を目指すキャリア形成のリスクと言えます。

民間企業での需要と大学の研究者数のバランスは全く異なっていることに注意が必要です。例えば、就職難で有名な生物・バイオ系の就職先の典型例は製薬会社ですが、日本最大手の武田薬品工業が合併でやっと世界10位(それでも先行き不安)に入れたというレベルです。産業自体が弱いので、その分野の研究者の就職先も少ないです。一方、日本では工学系分野は産業が盛んで、かつ汎用的に応用可能なスキルが多いので、そういう分野の大学研究者は企業に就職する際にほとんど苦労はありません。


引っ越しを伴う転職が多い

ここからは大したマイナス要素じゃないかもしれませんが、人生設計の観点からみると自分が好きな場所に住めないことも問題になるかもしれません。大学教員のキャリアでは、数年ごとの転職が普通です。特に若いうちは、いろいろな研究所や大学で研究スキルを上げていくことが好ましいと考えられています。

留学も若いうちに2, 3年するのが良いとされているので、最短27歳からキャリアを初めて、数年ごとに海外含めて引っ越しを繰り返すキャリアになります。研究では「専門性」が大事なので、勤務地を選んでいては就職先もなかなか見つからないです。自分一人なら問題ないかもしれませんが、家族がいれば、色々犠牲になると思います。

私はそこまでできそうにありませんでした。


以上のようなデメリットが大学教員のキャリアにはあると私は思っています。

他に、「忙しい(土日も出勤)」とか「給料が不十分」とかもよく言われますが、私には許容範囲でした。

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このページでは、研究を本職とする大学教員キャリアのデメリットを私なりに紹介しましたが、一方、地方私立大学で経営が危ない状況の大学では、出来の悪い学生の「教育」のほうが仕事のメインだったりもします。そういうところでは研究するお金・時間がありませんし、普通、給料も低いです。ただ、私立大では大学が倒産しない限り終身雇用が保証されている場合が多く、その点では精神的な安心感を得やすいと思います。同じ大学教員でも、国立or私立や偏差値の高低によって状況は異なるため区別する必要があります。情報収集の際にはお気をつけください。