細胞生物学の対策6(膜輸送など)
大学で生物学を履修した人にとってはそれほど負担にはならないと思いますが、絶対暗記しなければならない内容です。医学部編入でも、大学院入試でも頻出の問題集です。
このページに書かれているテーマは是非自分で整理してよく記述できるようにしておくのがよいと思います。
目次
膜を通過させる3つの輸送形式をエネルギーに言及して説明せよ
各輸送形式の例を挙げて説明せよ
(1) ポンプ
・・・ATPを消費し、少数の分子・イオンを濃度勾配に逆らって通過(能動輸送)させる。
・Na/K-APTaseは静止膜電位の維持に重要であり、3xNa+を汲み出し、2xK+を中に取り込む。ジギタリス・ウアバインは、このポンプを阻害する。
(2) トランスポーター
・・・エネルギーを必要としない受動輸送を行うものと、二次能動輸送を行うものに大別される。
・小腸上皮細胞で、細胞外グルコースを取り込む際に二次能動輸送が行われる。Na+とグルコースが同時に取り込まれる。「電気化学的勾配」に従って流入するNaにより生じる負のΔGが利用される。
(3) チャネル
・・・受動輸送により膜を通過させる。トランスポーターの1000倍以上の分子を一度に通過させる。
・ナトリウムチャネルが代表的。テトロドトキシン(フグ毒)はナトリウムチャネルを阻害する(筋肉が弛緩して動かなくなる)。
核タンパク質が核内へ輸送される仕組みを説明せよ
*ウィキペディア(シグナルペプチド)のNLSの説明はわかりやすい。
・核膜孔の直径を越えるような、大きいタンパク質は自由に核へ通過できない。
・合成されたタンパク質のペプチド鎖内部に塩基性アミノ酸からなる「核局在シグナル(NLS)」がある。NLSに輸送タンパク質であるインポーチンが結合し、核膜孔を通過して核内へ輸送する。
・核でGTP結合型Ranがインポーチンに結合し、核タンパク質を遊離させる。インポーチンが細胞質に戻り、RanのGTPがGDPになると、インポーチンは次の積み荷を結合できるようになる。(Ranは「単量体Gタンパク質」である)
*「核にあるGTP-Ranが一番強い(ただし核のみ)」と覚えたらよい。あるいは、GTP-Ranは核外にインポーチンを運ぶと記憶するだけでもよい。
* NES(核外搬出シグナル)・Exportin(エクスポーチン)もあるが混同しないように。エクスポーチンはインポーチンの反対の機能を持つ。GTP-Ranがエクスポーチンと積み荷を核外に運ぶ。
*RNAの輸送は複雑なようだ(生化学会:RNA全般・mRNA)。
(小胞体)シグナルペプチドを説明せよ
アミノ末端にある5-10個ほどの疎水性アミノ酸を中心とする配列である。
(1) 遊離リボソームでのペプチド鎖合成中にシグナルペプチドにSRP(signal recognition particle)が結合すると、一時的に翻訳停止し、リボソームとmRNA/ポリペプチド鎖はRERに運ばれる(SRPは「RNAとタンパク質」の複合体らしい)。
(2) SRPはRER上のSRPレセプターまで、リボソームとポリペプチド鎖を運び、これをトランスロコンに結合させる。
(3) トランスロコンと結合するSRPが離れ、翻訳が再開される。
(4) シグナルペプチドはRER膜のシグナルペプチダーゼにより分解される。RER内ではシャペロンの助けを借り、糖鎖付加などが起こる(RER内ではN結合型糖鎖)。
*「SRP(リボタンパク質)が、トランスロコンまで運ぶ」と覚えていたらよい。
(特に複雑な点はないが、「SRP」「トランスロコン」という言葉は覚えておく。)
受容体仲介型のエンドサイトーシスを説明せよ
・①液相エンドサイトーシス(細胞外液の取り込み)と②受容体仲介型のエンドサイトーシスに分けられる。このうち、受容体仲介型のエンドサイトーシスについて下記を覚えておけば十分。
・リガンド / 受容体 / アダプチン / クラスリン(集結)
・(上記の結合様式で)細胞膜が陥入して、被覆小胞を形成する(クラスリンは離れる)
*細胞膜からくびりとられる際に、ダイナミン(GTPase)がはたらく。
①【大人の医学部受験】元医学部教員の医学生が「学士編入」をゼロから詳しく解説
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②医学生向け研究の始め方・取り組み方ガイド(医学生・学士編入志望者に有用)
③私が大学教員を辞めて医学生になった経緯(研究関係者・学士編入志望者に有用)
・被膜小胞は初期エンドソーム(内部酸性)と融合する。*エンドソーム内で物質のソーティングが行われる。