インパクトファクター数値の目安

インパクトファクター(IF, impact factor)の目安は研究分野によってかなり異なりますが、ここでは生物・基礎医学系について考えます。また、個々人のキャリア設計や、今どのポジションにいるかによっても狙うべきインパクトファクターの点数も異なってくると思います。

この記事では、点数別にインパクトファクターの意味合いを書いていきます。対象者は大学院生&ポスドク(PIでない若い人)くらいの人で、すべて私見ですのでご注意ください。


IF1~2点~:研究業績欄の点数稼ぎ

インパクトファクター1点や2点は、生命科学・基礎医学の分野では、あんまり意味のある研究業績として認識されないです。もちろん低いインパクトファクターでも、ないよりある方がいいですし、若手の場合は元々の研究業績が少ないはずなので、IF2以下の相対的な価値は本人にとって高いと思います。

ただ、普通の教授は学生やポスドクがこのレベルの雑誌に投稿することを喜びません。たぶん協力してくれないでしょう。大学院生に学振を取らせてあげるつもりの優しい教授なら、IF1~2点の雑誌を代筆してあげるかもしれませんが、それなりに上手く研究室を運営している教授であれば、投入労力に対するインパクトが低すぎるので、このレベルの雑誌への論文投稿に時間を割くモチベーションがありません。

普段の研究生活でIF1~2点の雑誌の論文を読むことも多くないと思います。感覚的に言えば、IF1~2ランクでは、「実験してデータを出しているけれども、何が言いたいのかわからない・どういう意味があるのかわからない」研究が多いです。研究の詰めが甘いことも多々あるので、読むメリットもあまりないし、特に、研究始めたての若い学生はあんまり読まない方がよいと思います。


IF4~6点~:それなりのまとまった研究

狭い研究分野の範囲であれば、インパクトファクター5前後の雑誌が分野トップだったりします。そういう雑誌は、研究分野が近ければとりあえず目を通したりします。一部の大御所の先生で、このレベルでもゴミ論文扱いする人もいますが、そういう人は例外と考えてよいと思います。「研究分野のコミュニティー内では読まれる」論文なので、最低限のやりがい・仕事の価値はあると思います。

IF5以上の論文を若いうちから(自分のアイデアで)量産していたら、とりあえずポスドクとしては最低限の研究能力はあると認識されると思います。PIになるには全然足りないです。


IF9~14点~:何らかの新しさのある研究

インパクトファクターが10点前後になると、他分野の人にも読まれたりする研究になります。このレベルになると、何かこれまでと異なるコンセプトとか、新しい考え方の提案などが必要になります。IF5前後の雑誌にありがちな、単にパズルの穴埋めしたような研究ではなく、意外性のある発見がしばしば含まれます。論文にはある程度のストーリー的な面白さも必要です。

このレベルの雑誌を継続的に発表していたら、将来路頭に迷う危険は少ないんではないでしょうか。平均的なコミュ力・事務力・授業力etc.があれば、地方大マイナー科目の任期なし雇用(万年講師)などは狙えると思います。ただ、将来にわたって、教育などでなくて研究を本職とするためには、IF10程度の業績でも足りないです、残念。


IF20, 30, 40点,:アカデミア勝ち組の研究

このランクの研究は、私には雲の上の世界です。ネイチャーやサイエンス誌に載るのは、分野外の人も面白いと感じる研究成果です。生命科学系であれば、「もしも本当だったら面白いね」っていう、高いストーリー性の創造的論文が多いです。怪しい論文も多いけれども、とりあえず自然科学の流行が分かるので毎号チェックしたりします。

このランクの論文を発表したら研究キャリア的に安泰。失職リスクはほとんどないと思います。どうやったらこのレベルに達するのか不明。私には無理でした。

関連記事:
インパクトファクターの重要性(学生向け記事)
ポスドクと任期付き助教の末路

以上、私の個人的考えでした。考え方は人によって微妙に異なると思うので、ご注意ください。