フロンテオ、人工知能と医療の銘柄


<FRONTEO (2158) マネックス証券より引用>

フロンテオ(FRONEO, 2158)の株を100株、合計約8万円を費やしたけど、下がるなぁ。

2/20頃に買って、現在約8000円の含み損状態。。

基本的にわたしは損切りしない方針なんで、この程度で大きな迷いはないのですがテンションは下がります。まあ、テンション下がるのも理性的でないと考えているので、こういうパターンにも耐性は出てきましたけれど。

人工知能銘柄としてよく取り上げられる銘柄です。医療との関係もあるから個人的には期待しているけれど、同時期に買おうか迷ったフォーカスシステムズの方は株価上昇中だから気分が良くない。。


<フォーカスシステムズ (4662)マネックス証券より引用>

フロンテオという会社は、AI関連でたびたび話題(一例を後述)になるニュースを発信していますが、その割にそれらが会社の利益にどう繋がっているかが微妙なので、それがこの銘柄の難点だと思います。ただそれにしても、ここまで株価を押し下げる要因も見当たらないと思います。なぜ下がり続けているのかわたしは分かりません。

フロンテオの主要な事業は米国でのリーガル事業で、そちらでは割と需要もあって(AIよりは)安心だと思われます。なので会社全体が傾くことはないと思いますが、早く、力を入れている「AI(人工知能)」の事業の方で具体的な成果を出してもらいたいなと期待しています。


自分の専門は基礎研究ですが、少し関係するので下記の事案に注目しています(フロンテオは他にも色々やっていますが)。

【フロンテオ】AIで精神疾患診断‐18年度までに実用化
薬事日報(2016/10/26)

【フロンテオ】「がん個別化医療AIシステム」を開発へ
日経デジタルヘルス(2016/10/12))

精神疾患もがん診断でもこの会社がやろうとしているのは、どちらもビックデータから法則(いわゆる暗黙知?)を学習により発見することで、個別の症例を医師が判断する際の手助けをしようとするものだから、まさに「これぞAIの出番」といった感じはします。ただ現段階でグーグル検索で済むようなことをフロンテオは「情報支援」と呼んでいる様な気がしないでもないです。

がんの治療選択については、将来AIを活用するというのは非常にイメージしやすいです。IBMのワトソンを使った下記の報告は将来のAI利用の可能性を示唆しているかもしれません。

東大は昨年からIBMと共同で、がんに関連する約2千万件の論文をワトソンに学習させ、診療に役立てる臨床研究を行っていた。そこで、女性患者のがんに関係する遺伝子情報をワトソンに入力したところ、急性骨髄性白血病のうち、診断や治療が難しい「二次性白血病」という特殊なタイプだとの分析結果がわずか10分で出た。

ワトソンは治療法の変更を提案し、臨床チームが別の抗がん剤を採用。その結果、女性は数カ月で回復して退院し、現在は通院治療を続けているという。(産経ニュース(2016/8/5)

ただIBMのワトソンがどれだけすごいかはこの記事からは判断しかねます。性能の良いコンピュータだったら、基本的に診断方法が既知の(この場合「二次性白血病」)がん診断は理屈上何でもできると思いますし。(この記事でワトソンは新しい治療を提案したわけではないように思います。)



がん・精神疾患の診断時のAI応用について

個人的には、がんの治療選択時にAIの役割が高まっていくことはかなりイメージしやすいです。がんは基本的にゲノムDNAの変異(エピゲノム等もあるけど)によると考えられるから、データを集めるのが精神疾患よりもずっと簡単だと思う(精神疾患の原因がニューロン自身又は神経ネットワークの異常だと考えられるのと比べたら)。もちろん生体内のがん(腫瘍)はヘテロな集団だからすべてを網羅することはできないかもしれないけれど、現在既に1細胞からのゲノムシーケンスも技術的に可能であるので、部分的な穴はあっても相当数のデータを準備することが原理的に可能だと思います。

そもそも、がんは個人間の差がとても大きく、さらに(同一の人での)がんの進行度によっても特定の薬剤の治療効果が異なってきます。このように治療効果を予想しにくい点が昔から問題になっているので、AIの活用は需要に対する親和性が高いと言えると思います。多くの精神疾患の治療と異なり、がん治療では比較的多様な薬剤が既に存在しており、「効く人には効くけど、効かない人には効かない、しかも副作用が大きい」という一般的な性質があるので、AIがどの薬剤が最適であるのか、ビッグデータの解析に基づき提案することが想像しやすいです。

一方、上述の精神疾患の方はフロンテオのAIの提案によって、「現状よりはマシ」にはなるのか、わたしはいまいち想像できないです。。個人的に、精神疾患では医師の問診の役割が極めて大きいので非科学的な感じがして改善の余地ありまくりだと思うのですが、精神疾患発症の仕組みが分子レベルでほとんど分からないので現状それも仕方がないという状況だと思います。しかしながら、それなりのデータと医師の経験の上で現状の診断方法が確立しているはずではあるので、AIの効果は限定的な気もします。フロンテオの人工知能が患者の行動とか言語情報を扱うとしたら、それは魅力的な挑戦ではあるけれど、遺伝子解析と比べて非常に難しいと思う。ゲノム情報と違って情報量に際限がなく、それこそ暗黙知を発見するとされる人工知能の役割かもしれないと、思うには思いますが。

まあとにかく、株価上がらないかぁ。


ps
この記事を書いてよく考えてみて、フロンテオの何が魅力かわからなくなりました。なので、17年3月末に704円で損切りしました。17/4/4現在644円まで下がっている。損切できたことはとりあえずは良かったみたいだけど、どうしても遅れてしまう。銘柄選びもダメだ。