研究者の英語力、必要性と勉強法
私はアカデミアの人間なので、大学教員のキャリアを想定して書きますが、企業の研究職でも同じ傾向だと思います。この記事の内容は、ポスドク・大学院生など若い人向けです。
研究者にとっての英語の必要性はどのくらい?
科学研究では英語が共通言語になっているので、基本的に英語はできればできるほど良いです。当たり前のことですが、日本語に翻訳された情報は既に過去の情報なので、それを追いかけても最先端の研究はできません。
ただ、英語はあくまでツールに過ぎないので、必ずしも完璧な英語は求められません。研究内容が素晴らしければ、発表者の英語がかなり下手でも、何とか聞き取って理解しようとしてもらえます。また、研究者の中に英語ネイティブは多くないので、基本的に下手な英語にも寛容です。あえて言うなら、求められる英語レベルは高くはなく、「最低限の運用能力」と考えると良いと思います。
研究者の英語力レベルは?英語できない人はどうなる?
では、実際のところ研究者の英語レベルがどの程度かと言うと、かなり個人差が大きいです。いくつか大学を経験した私の感覚では、偏差値の高い大学のほうが学生も教員も英語力が高いと思いますが、しかしばらつきが大きく一概には言えません。研究分野で比べると、工学系よりも生物系研究者の英語レベルが相対的に高い傾向を感じたりもしますが、これはもっと個人差が大きい印象です。
分かりやすい指標で言うと、旧帝の大学院生(生物系)でTOEIC800~900点台、TOEFL iBTなら80点台であれば標準~やや英語ができる方だと思います。ただし、特にTOEICのほうは研究で必要な英語に関係ありません。私の感覚になりますが、必要となる英語の具体的レベルというのは、多分以下のようになると思います。
・最低限の発音。アクセントを理解していること。
・論文中の英語表現は不自由なく使えること。
・聞き取れなかったときに聞き返せる・表現がわからなかったときに別の言葉で言える、程度の英語力。
カタカナ英語は、カナカナ英語のパターン(L→RとかV→Bとか)を知らない外国人には非常にわかりづらいので、早く直した方がいいです。ポスドクや助教になっても英語発表から逃げている恥ずかしい人も一定数いますが、逆に、ある程度正確な発音とアクセントで英会話ができれば、本来の研究能力に依らず「英語ができる優秀な人」のような印象を周りに与えるので(おかしな話ですが)、いくぶんキャリア形成上も有利になりうる思います。なので、若い人には英語頑張ってみるのをお勧めしたいです。
英語上達のための勉強法は?研究室環境は?
ところで大学の研究室は、自然な形で英語力を上げるのに適した環境であることが多いと思います。仕事のツールとして英語を使うし、留学生がいれば、人とのコミュニケーションのために英語を使うからです。この意味では、巷の英会話教室なんかよりはコスパがいいかもしれません。
大学院生にとっては、論文を英語で読んでいるというだけではアウトプットがないため英語上達法として非効率で、ほぼ効果なしだと思います。私の場合は、大学院の時、抄読会(ジャーナルクラブ)を英語でやっていたのが良かったです。特に、博士課程の研究室を選ぶ際は「ラボ環境」が自分の成長になるか否かという観点も必要だと思います。その観点で考えると、研究室メンバーの多国籍さもラボ選択時には加味していいと思います。
*コスパで言うと、レアジョブ英会話のようなオンライン英会話もいいかもです。私は学生のときやっていました。興味あれば無料体験どうぞ。