研究室の不条理あるある(学生不満編)

今回は研究室の学生(大学院生)やポスドク視点での不条理&不満を紹介してみたいと思います。一応、解決策も書いてみました。理系の大学生・大学院生は参考にしてみてください。

当ブログの愚痴シリーズは人気があるので、他の記事もよかったらどうぞ。

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教授の意向に沿うデータを出さないと機嫌が悪い

非常によくあるパターンで、時に若手研究者が捏造に手を染める原因になるやつです。結果Aを期待して実験をさせて、結果Bという結果が得られたときに、教授の解釈は「実験のやり方が悪かったに違いない」となります。学生の実験が下手な場合もよくありますが、研究を始めたばかりにこういう状況に遭遇すると、研究がつまらないものになってしまいます。

学生の被害が広がるパターンは、「実験条件を少し変えて、期待する結果Aが得られるまで何度も実験を繰り返す」です。さらに学生の振舞い方次第では、「この学生は実験が下手なんじゃないか」とか、「(自分の指示であることは忘れて)この学生はネガティブデータばかり出すから優秀でないな」とか、実に不条理な認識を持たれてしまいます。

解決策としては、「ディスカッション中に先生がおかしな指示を出さないように、教授の思考を自分側に誘導する(ディスカッションをリードする)」というのが理想的ですが、修士課程の学生には難しく、博士課程でもあまり上手くない人のほうが多いと思います。


教授お気に入り学生が良い研究テーマをもらっていく

これは特に生命科学分野であるあるだと思います。生命科学研究では(1)研究の材料が大事(=例えば臨床検体などを使わせてもらえたらそれだけで高インパクト)、(2)実験にお金がかかる場合が多い(=研究アイデアよりお金が重要)、という傾向があります。臨床検体の使用やお金のかかる実験の遂行では、普通学生に決定権はなく、上の先生の判断で物事が決まります。

こういう性質の研究プロジェクトを誰に割り振るか、と教授が考えた場合、「自分に衝突しない素直な学生」にやってもらいたくなるのもある意味自然の成り行きです。自律的に研究したいと考える面倒な学生よりも、手を動かすのが得意な学生(テクニシャン状態)がいい研究テーマを持っていることは多々あります。

優秀な学生の理想的なやり方は、「指導教官の実験マシンの役割を演じながら、実際のディスカッションでは自分の考えに誘導するように努める」ですが、やはり難易度は高く、教授との相性の問題は大きいと思います。例えばディスカッションで意見の不一致があったとき、「教授の意見に反対する」は良くなくて、「教授の意見を(相手に悟られないように)自分の意見に誘導」するのが望ましいです。これを実現するには教授のアイデアを先取りする必要があるので、日頃からのコミュニケーションが大事です。(解決策と言えませんが、自分が「お気に入り学生」にならないといけないんです。)


教員から板挟み。下っ端がいつも被害者

これは研究室に限らず存在する現象かもしれません。学生の直接の指導教員が、ラボPIの教授でない場合に起こりがちです。例えば准教授が学生指導していて、学生はその指示に従い研究を進めたが、その研究方針が教授のやり方と相いれない場合、教授は(准教授でなくて)学生を叱ることになります。

学生が准教授の指示に従ったことを知っていても、(准教授でなくて)学生を叱るんです。性格にもよりますが、通常偉い人どうしは直接バトルを避けます。大抵、お互いが相互依存の関係をすでに持っているからです。表面上仲良く、実際牽制しあっているような場合は学生へのあたりがきつくなってくるので注意。

偉い人どうしの人間関係を変えるのは学生には不可能だから、若い人に特に覚えていてほしいのは、①直接の指導教官のパワーに、下に付く学生の研究キャリアが大きく依存している。②ゆえに、ラボ環境・人間関係・指導教官が自分に合わなければ適度に見切りをつけるのが好ましい、という2点です。


ポスドクくらいになると自己責任だけど、博士課程段階で研究キャリアが詰んでしまっているような状況(例:学位取得見込みなしオーバードクター)は、本人より指導教官・ラボ環境が原因であることがほとんどのように見えます。

この記事で書いた内容の多くは「コミュニケーションを正しく行う」ことで解決するものですが、相性や運の要素が大きいので、少なくとも研究室を変える選択肢は常に持っておきましょう。