大学研究室の不条理(研究者の不満あるある)

またまたネガティブな内容ですが、すべて私の個人的な見解、というか愚痴なのでご注意ください。

対象読者は、博士課程以上もしくは博士進学予定者だと思います。分野は医学・生物系です。


「自由に好きな研究してるんでしょ?」by世間 →そんな研究者ごく一部です

始めに、世の中的に思われているほど、研究者は自分の興味に従った研究はできないことを述べておきたいと思います。

研究には研究費が必要ですが、その審査をするのは他人であり、他人に評価されて始めて研究費を獲得できます。研究費が獲得できれば(研究費の範囲で)自由があり、それを原資に次の研究費を獲得するための研究を行えますが、もし獲得できなければ、大抵、自分より上の人(=普通教授)が獲得した研究費を分けてもらうことになります。当然、その場合は教授の意志に逆らった研究はできません。

現実的には、若手の多くは教授の研究費を分けてもらう立場にあり、優秀でも全部自分の分を賄える人はあまりいないです。なので、自分の研究というよりは、教授の研究プロジェクトを代わりにやっているような状況になりがちです。逆に言うと、自由に自身の興味を探求できるのは、教授レベルになれた一部の人たちだけです。とはいえ、教授たちも大学雑務や研究費申請に忙殺されているから、「研究にかける時間」というのはごく一部です。基本的に「自由に好きな研究」できている人はあまりいませんし、特に若い研究者では稀だと思います。


「役立つ研究しろ!」by偉い人 →自分の生活基盤すら危ういのに人のためって

最近の傾向ですが、「短期的に役立つ研究か否か」が研究費を獲得する際に重要視されます。残念ながらこの国には長期的な視点を持つ余裕がないんです。医学研究でも同様で、シンプルに言えば「現在の(主に高齢者のための)医療費で手一杯だから、未来の世代のための医学研究になんてお金をかけられない」です。

基本的に、研究費はもともと税金だから、社会の役に立つことはとても重要だと思います。でも研究者自身がワーキングプアで貧困と隣り合わせなのに、他人のことを考えるって難しい。私は不条理だと思いましたし、今でもそう思います。研究者の能力不足、と言ってしまえばそれまでですが、これも私が助教を辞めた理由の一つです。


「年収1千万。あーしんど」by腰掛医師大学院生 →空気嫁!

医者は感覚が非医師研究者と異なることが多々あるので、研究室内で不用意な発言・行動に注意する必要がありそうです。特に、医師でない研究者が多い研究室にいる場合、好き勝手振舞っておいて自分を被害者だと思っている人が多いようです。

お願い:
・非医師研究者を自分の実験補助員だと思わないでください。
・たまには研究室の仕事もやってください。
・いつも自分が優遇されて当然と思わないでください。
・金銭感覚が周りと違うことに気が付いてください。

など。

もし基礎系研究室でハブられていると感じている場合(そう感じる医師の話をたくさん聞いてきましたが)、それは研究室の問題ではなく、自分で上記のような問題を起こしている可能性が高いと思います。


*本記事の具体的内容は特定の研究室をモデルとしていません。私がこれまで耳にした情報をまとめたものです。

話は変わるけどnoteで医学部編入を、特に研究者向けにおススメする文章を書いているのでぜひご覧ください。→ https://note.com/phd_igakusei