製薬研究職以外の就職先その2

製薬会社のMR (Medical Representative)も、研究職や開発職ほどは人気がないかもしれませんが、多めに募集がかかっており、他業界と比較してもそれなりの人気職です。文系学部卒でも新卒採用されるので、バイオ系の大学院生では、やや学歴過剰気味と解釈されるかもしれません。博士課程の学生になると、ふつうは募集対象外になっています。

医師にぺこぺこするのは大変そうですが、高給取りで、専門知識が要求される仕事ではあるので、高偏差値大学卒でコミュ力高めな学生には向いているかもしれません。当然(だけどあまり言われませんが)容姿が重要な仕事なので、実際に志望企業で働いているMRの傾向をチェックできるといいでしょう。そうすると採用権限を持つ担当者の顔の好みがわかるらしいです。

製薬会社にとってお金を稼ぐことは第一の(だけどあまり言われませんが)優先事項なので、研究職の方であっても「MRが稼いだお金で研究に投資してもらっている」という認識が少なからずあるようです。


バイオベンチャーも候補に入る

また、医薬品の業界の中で、研究に携わっているのは「製薬会社」だけではありません。新薬の開発難易度が上がったと言われて久しいです。製薬会社は外部に薬のたね(シーズ)を求めています。

自分たちの創薬が上手くいきませんから、シーズを他社から買う・ライセンス契約する、というやり方を財力のある大手製薬企業はしばしば行っています。多いパターンは、欧米のバイオベンチャーの買収や技術提携です。

残念ながら日本のバイオベンチャーは欧米に比べて数が少なくパワー不足ですが、大手製薬企業と技術協力など行っているベンチャーは多くあります。研究分野がマッチしていたら、特に博士課程以上の学生、ポスドクであっても就職先候補にはなるし、製薬会社以上に「即戦力」の人材を求めている傾向があります。

ただ日本の社会風土でベンチャーがどのように認識されているかはよくわかりません。アカデミアでは研究業績(特に発表論文リスト)がキャリア形成の核になりますが、基本的に民間会社は論文を重視しませんし、むしろ無駄扱いだったりします。だからベンチャー就職した人はアカデミア研究者に戻るのが難しいです。医薬品業界が元々人材の流動性が高いといっても、倒産可能性が高いベンチャー企業で積まれる経験が、どのように他の会社でも活かされ得るのかは私は知りません。新卒博士がバイオベンチャーに入ると、のちのちリスキーでないかと思えたりもします。