書籍レビュー(バイオテク関係)

このページではバイオテクノロジー関係のおすすめ書籍を紹介していきます。大学院生や生物系の研究者向けの本で、特に製薬会社などで研究職を志望する人に推奨したい本のレビューリストです。

薬づくりの真実 ―臨床から投資まで―
初心者から上級者までお勧め。サイエンスの情報とビジネスの情報がバランスよく解説されており、サイエンスのバックグラウンドがある研究者・大学院生が業界情報を初めて得ようとするときに私が一番お勧めしたい本。国内の情報は少ないが、アカデミア研究者と企業研究者、ビッグファーマとベンチャー、投資家、など、非常に多角的に業界を概観している。解説は論理的で一定レベルの読者を対象としている感がある。値段が高い(6500円)のは玉に瑕である。。
医薬品業界の動向とカラクリがよーくわかる本
こちらの本は日本中心で業界解説されており、広く浅い内容なので、例えば就活生などに適していると思う。大手から中小の製薬企業を中心に、ドラッグストア・薬局、卸、ジェネリック業界を含めており、医薬品業界を知るのに便利である。2016年に新版が出たので情報は比較的新しい。サイエンスの情報がほとんどないため、新薬メーカー志望の就活をするには情報不足であると思われる。新薬メーカー以外について業界情報を知るには、私の知る限り一番お勧めしたい本である。
セレンディピティと近代医学
抗がん剤や抗生物質の発見などの歴史的な話題を書き連ねた、よくあるパターンの書籍ではあるが、話題がかなり広くて詳しいのがこの本の良いところ。内容の充実具合を考えれば、文庫版で読めることは圧倒的なコストパフォーマンスである。ときおり題名にある「セレンディピティ」に言及されるが、本書の全体としては「近代医学における発見の物語」という方が適切。医師・科学者らの研究成果によって現在の医学の発展があることがわかる。
つながる脳科学
理研の研究者たちが書いた、いわば理研の広告本であるが、内容は面白い。脳科学関係の研究者たちが各自の研究について、20-30ページずつくらいで概論を述べている。理研がお金かけてすごい研究やってるなあと思うけれども、それでも面白いから税金の投入価値があるのかなあ、なんてことを私は思った。この本の内容は理研で行われている研究のみだが、国内最先端の研究所ではあるので、脳科学最先端がどんなのか知るに役立つと思う。
新しい免疫入門
お手頃ブルーバックスシリーズだが、値段以上の価値がある。レベルは少し高めで、生物学関係のバックグラウンドがある人・学生にちょうどいいくらいだと思われる。高名な、阪大の審良先生らが書かれた本。「免疫」はシステムであり、ゆえに、それを体系的に全体として把握することは重要であるが、免疫は現象として複雑であり、とっつきにくいところがあると思う。本書は「記載内容のレベルを維持したまま、全体像が短くまとまっている」点で非常に優れていると思う。
免疫が挑むがんと難病
2016年刊行の比較的新しい本。記載内容は数十年前の出来事から最近の内容まで含まれ、物語形式なのでとても読みやすい。サイエンスの深いところにはそれほど突っ込んでいないが、研究者らがどのようにこの分野を発展させ、現在に繋がっているかという点を良く理解できる。免疫学分野における日本人の貢献は大きいため、教養として情報を得るという観点からも有用な本だと思う。